作成日:2020.05.25  /  最終更新日:2020.05.25

個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人という人格の違い

「独立・開業して自分のお店を持ちたい!」という夢をお持ちの方へ

事業を開始する場合にまず考えたいのが、「個人事業主」として経営していくか「法人」として運営していくかです。個人事業主or法人で費用や支払う税金などの違いがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。

ちなみに「個人事業主」として経営するとは、申請や確定申告は個人で実施するということです。例えば店舗・物件を契約するときも個人の名前で契約します。当たり前ですが屋号は好きなように定められます。法人として経営するというのは事業の申請や契約主体が法人となるという意味です。

法人を設立して経営するメリット・デメリット

法人を設立して経営するメリット

まず個人事業主と比較して信用力が高まります。”個人事業主とは取引をしない”という企業もあるので、そういう事態を避けることができますし、従業員を採用する場合も印象は良くなります。

また、税金対策的な面でいうと、経営者の給料(役員報酬)を費用にすることができます。法人の場合は売り上げから各種経費を引いて、さらに経営者の給料も引き、残った利益の額に税金が課されるので個人の場合よりも節税効果があります。

また赤字の繰り越しも9年(個人事業主は3年)なのでこの点にもメリットがあります。

法人を設立して経営するデメリット

法人の設立・決算・清算という、始める/続ける/やめる、どのフェーズにおいても個人事業主よりも費用・手間がかかります。設立時には会社の印鑑を作ったり、定款作成・法人登記が必要になります。

司法書士に依頼した場合費用は30万円程度は見込む必要があります。決算も通常税理士に依頼することが多く(月額2-5万円の顧問料必要)、事業をやめるとしても会社を清算する手続きが必要になります。

また社会保険の加入義務が発生したり、法人事業税・法人都民税といった個人事業主にはない税金負担も発生します。法人として事業をするメリットが多い分、手続きや費用なども必要になってしまうということです。

個人事業主として経営するメリット・デメリット

個人事業主として経営するメリット

個人事業主はどのフェーズにおいても法人を設立する場合と比較して費用・手間が少なくすみます。開業する場合は納税地の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すればOKです。定款や登記も必要ありませんから費用もかかりません。

個人事業の確定申告は税理士を使わず自分で行っている方も多いですので申告費用もかかりません。始めるにあたっての資金的なハードルが低いので、マッサージ店や美容院、飲食店などの店舗の開業をする場合は「まず個人事業主としてやってみて軌道に乗ってきたら法人成り(法人化)する」という戦略をとるのが良いでしょう。

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットとしては、個人経営なので信用力が低くなってしまう点が挙げられます。また法人と違って、経営者の給料を経費にすることができません。売上から経費を引いて残った利益の額が経営者の所得となり、ここに税金がかかってきます。

他にも個人事業主の場合経費に認められる範囲が法人よりも狭いので、税金負担が多くなってしまう可能性はあります。ただ、売上・利益の規模によるので一概には言えません。

まとめ

いわゆる地域に根差した”お店”を開業する場合はリスクを低く始められる個人事業主として開業するのが良いでしょう。金融機関から融資が受けにくいと言われますが、創業者への融資に力を入れている日本政策金融公庫は個人事業主も融資対象としているので資金調達が全くできないということもないです。

まずは個人事業主として開業して2店舗目、3店舗目…と軌道に乗ってきたタイミングで法人成り(法人化)することが良いのではないでしょうか。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。