作成日:2020.05.25  /  最終更新日:2020.05.25

「助成金」と「補助金」の違いとは確実に貰えるか/貰えないか

国や地方自治体に申請して受け取ることのできる補助金や助成金は、事業拡大を目指す店舗経営者にとって魅力的な資金調達手段です。 特に、創業時や新規事業のために資金が必要な場合に、補助金や助成金を活用することができれば事業の拡大を図ることができます。

個人経営の店舗や中小企業にとって資金繰りは大きな問題で、金融機関の融資だけで賄うのは負担が重く、なかなかチャレンジしにくいのが実状です。 そのため、国や地方自治体は、個人経営の店舗や中小企業の活動を資金面から支えるために補助金や助成金の制度を設けています。

この「補助金」と「助成金」では何が違うのでしょうか?補助金や助成金については、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。 今回は補助金と助成金の違い、補助金や助成金を利用する際の注意点について解説します。

補助金と助成金の違いとは?

補助金も助成金も融資とは違い、原則として返済不要のお金なので、活用することができれば事業拡大のための大きな力となります。

補助金は予算や件数が事前に決まっており、補助金を受け取ることのできる会社の数には限りがあります。 補助金は公募期間が短いのも特徴で、中には1カ月程度しかない場合もあります。

また、申請しても審査がありますので、要件を満たしていても審査を通過しなければ補助金を受け取ることはできません。 つまり、補助金は申請しても受け取ることが出来ない場合もあるのです。

これに対して、助成金は決められた要件を満たせば、原則として申請した人は誰でも受け取ることができます。補助金のように件数の制限もありません。公募期間も随時、または長期間であることが多いのが特徴です。

しかし、補助金と助成金の境界は曖昧で、助成金であっても補助金のように審査に通過しなければならないものもあります。ですから、補助金や助成金の活用を検討する場合は、事前に各制度の応募要項などを確認しておくことが重要です。

補助金や助成金を受け取れるのは支払の後

補助金と助成金ともに受け取ることができるのは支払った後であり、交付が決まったからといって前払いされるわけではありません。 補助金や助成金を受ける事業の終了後に事業報告をして資金の使途内容などについて検査を受け、その後に支払われるという流れになります。

例えば、1月に事業終了、2月に事業報告、3月に検査、4月に支払いというように、事業終了から支払いまで3~4カ月かかることも珍しくありません。 そのため、あらかじめ補助金や助成金を受け取って、それを支払いに充てることはできないのです。

あくまでも自己資金で一旦支払った後で、その一部を負担してもらうということになります。 ですから、補助金や助成金の交付が決まったからといって安心できるわけではありません。

補助金や助成金を活用する場合でも、一旦は自力での資金調達が必要になります。 資金繰りが厳しい場合には融資などの方法についても、検討しておくことが重要です。

補助金や助成金の内容は毎年見直されている

国や地方自治体が実施している補助金や助成金は常に見直しが行われています。環境の変化や政策の変更、補助金や助成金の効果などによって毎年のように内容が見直されるのです。

そのため、同じような制度や事業名の補助金や助成金であっても、前年度と内容が大きく変わっていることもあります。 例えば、前年には対象とならなかった規模の事業主が今年は対象となるようなこともあるのです。

また、対象となる使途内容が変更されたり、補助率や上限の金額が変わったりすることは珍しくありません。 ですから、「どうせ昨年と同じでウチは対象にならないだろう」などと判断してしまわずに、内容についてはその都度公募要項などで確認することが必要になります。

補助金や助成金は返済を求められることもある

補助金や助成金は原則として返済が不要なお金です。 しかし、使用用途の違いや虚偽の事業報告などのルール違反や不正があれば、 当然支払われた補助金や助成金の返還が求められます。

また、多くの補助金は「事業終了後5年間に限り事業の成果によって得られた利益が特定の限度を超えた」などの場合に利益の一部を返納しなければならないという規定があります。

ただし、このような理由で補助金を返還したという例はほとんどありません。 それでも自分が活用しようとしている補助金や助成金について、どんな場合に返還を求められることがあるのかも事前に確認しておく必要があるでしょう。

補助金や助成金を上手く活用して事業の発展を

国や地方自治体が実施している補助金や助成金を活用すれば、事業を発展させることも可能になります。 補助金や助成金は後払いなので一旦は自己資金が必要になりますが、返済が不要なお金を活用することができるメリットは計り知れません。

上手く活用するためには自分の事業が対象となる補助金や助成金がないか、常に確認することが重要です。 また、補助金は申請期間も短いため、スムーズに書類を作成して申請する必要があるため、認定支援機関の税理士に相談するのもおすすめの方法です。 専門家のサポートを受けることで、補助金を受けられる可能性も高まることが期待できます。 事業の発展、安定して店舗経営のためにも補助金や助成金を上手く活用しましょう。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。