作成日:2020.05.25  /  最終更新日:2020.05.25

日本政策金融公庫の賢い利用方法

日本政策金融公庫は、ご存知ですか? 中小企業にとって融資が必要なシーンでお世話になることも多い、日本政策金融公庫の概要や経営に役立てたい各種制度をご紹介します。また、通常の融資よりもお得な金利で資金を集めることができる、『中小企業経営力強化資金』についての概要と認定支援機関である税理士経由の申し込みのメリットについてもまとめてみました。

日本政策金融公庫とは?

中小企業経営者にとって、融資の際に欠かせない存在である日本政策金融公庫は、正式名称を『株式会社日本政策金融公庫』と言い、平成20年に立ち上げられた会社です。複数の公庫(国民生活公庫、中小企業金融公庫、農林業業金融公庫)と一つの銀行(国際協力銀行)が統合して今の形になっています。

また、通常の金融機関と異なり、『株式会社日本政策金融公庫法』に基づき、運営されています。日本政府による100%出資ということもあり、『セーフティーネット』としての役割も担っています。サービス一覧ページには『セーフティーネット貸付』として以下の融資がリストアップされています。

・経営環境変化対応資金(売上減少、業況悪化に対応)
・金融環境変化対応資金(取引金融機関の破綻等による資金繰りに対応)
・取引企業倒産対応資金(取引企業倒産等による経営悪化に対応)

その他に、創業・起業をする方向けの融資、女性や若者、シニア向け融資、廃業歴がある方向けの融資などもあり、他の金融機関で融資を断られたという方でも利用しやすい環境が整っています。

制度融資と日本政策金融公庫での融資

通常の融資を受ける時に必要な実績(売上、利益のデータ)がない創業時でも、融資を受ける事ができます。

創業融資は2種類あり、日本政策金融公庫によるものと信用保証協会によるものがあります。

制度融資と新創業融資

日本政策金融公庫が取り扱っているのは『新創業融資』、信用保証協会(自治体や銀行と連携)が扱っているのは『制度融資』です。

制度融資の場合、金融機関が受付窓口となっており、信用保証協会の支店の審査を経て融資となります。実際に融資されるまでの期間が掛かってしまうことや、自治体ごとに融資の条件や金額が異なってしまうことが懸念事項としてあります。

日本政策金融公庫での融資のメリットとは?

日本政策金融公庫は、中小企業を助けるための機関です。そのため、他の金融機関で融資の審査に落ちてしまっても、日本政策金融公庫では融資を受けられる可能性もあります。また、「新創業融資制度」の場合は、担保や保証人は原則不要となっており、各種金利引下げ措置も用意されているので、これから創業をお考えの方にもお薦めです。

中小企業経営力強化資金

以下の2つの条件に当てはまる場合に『中小企業経営力強化資金』を融資しています。融資の限度額は、7,200万円(運転資金は4,800万円)で設備資金の場合は20年、運転資金は7年以内に返済となっています。

1.経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方
2.自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方

中小企業経営力強化資金を活用するためには、外部の認定経営革新等支援機関による指導や助言を受けることが条件になっています。また、この制度を利用する場合は年一回の報告義務を2年に渡って行う必要があります。そのため、税理士や国が認めた認定経営革新等支援機関に相談してみましょう。

まだまだある、日本政策金融公庫の融資制度。最後に、日本政策金融公庫でぜひ利用していただきたい融資をご紹介します。

再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)

この融資は廃業者を対象としており、女性と35歳未満、55歳以上などの再挑戦を応援するものとなっているのが特徴です。(技術・ノウハウの新規性も重視されます)

IT活用促進資金

この融資の特徴は、8つある条件のうち、いずれかに該当すれば利用することができるということです。

資金の使いみちとして、コンピュータはもちろんLANケーブルや電源設備、意外な所ではケーブルテレビ事業者向けには4K放送対応のための設備資金も含まれます。日本政策金融公庫の融資は、あらゆる業種が利用していることがわかります。

新事業活動促進資金

この融資は第二創業(経営多角化、事業転換などによる)を図る事業者向けの制度です。他にも日本政策金融公庫では、様々な融資を受けることができますので、最寄りの税理士事務所に相談してみるのも良いでしょう。

日本政策金融公庫の融資活用相談は、身近な認定支援機関や税理士事務所へ様々な融資を受けることができる日本政策金融公庫。

しかし、店舗経営者にとってはどの融資が最適なのかわかりづらいこともあると思います。そんなときには、身近な認定支援機関や税理士事務所を訪ねると良いでしょう。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。