脱税することは犯罪ですのでやってはいけないことですが、法律に則って節税すれば合法的に納める税金を抑えることができます。個人事業主でもできるおすすめの節税方法や、どれくらいの利益が出れば法人化の検討をしたほうが良いのかについて、ご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
複式簿記で青色申告特別控除
小規模な個人事業主で、過去の確定申告を白色申告でしている人は、まず青色申告へと変更してください。
白色申告から青色申告に変更するだけで、最大10万円の課税所得控除を受けることができます。さらに、単式簿記ではなく複式簿記で記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を添付すれば最大で65万円の課税所得控除を受けることができます。
経理に詳しくない個人事業主の場合、複式簿記というと非常に難しいイメージを抱いてしまうことが多いですが、最近では安価で操作も比較的容易な会計ソフトも販売されています。難しい計算などはすべてシステム上で計算してくれるため、ほとんど難しい作業は必要ありません。
どうしても不安な場合は専門家である税理士に相談をすれば、おすすめの会計ソフトや使い方を教えてもらうことも可能です。一度相談をしてみてはいかがでしょうか?
少額減価償却資産の特例を活用
10万円以上の什器備品を購入した場合、消耗品ではなく固定資産として認識されます。そのため、一括で経費計上することができずに、1年分の減価償却費分だけを経費として計上することになります。
ただし、中小企業者に該当する個人事業主で青色申告を行う方は、中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例を適用することができます。
これは、30万円未満の償却資産であれば、平成30年3月31日までの間、減価償却ではなく取得したその年度中に即時償却をして経費計上をすることができるというものです。有限の特例であり、総額で300万円までしか適用することができません。
ですが、本来数年をかけて経費に計上するものを一気に計上することができるので、その年の所得を大きく減少させて、税金を少なくすることができます。
小規模企業共済制度への加入
個人事業主向けの退職金制度である小規模企業共済制度に加入することで、節税をすることも可能です。
小規模企業共済制度とは、毎月1,000円から70,000円の掛金を納付して、事業を畳むときに共済金を受け取ることができる制度です。一括で受け取ったり、分割で受け取ったりすることができますし、、老後の資金として積み立てていくことができます。納付した金額は確定申告の際に全額所得から控除することができます。そのため、将来のお金を積み立てながら節税効果も期待することができるのです。
また、実際に共済金を受け取るときにも、一括で受け取るときは退職金控除を適用することができ、分割で受け取るときにも年金等の雑所得として処理をすることができます。
個人事業主としては、利用しやすく節税効果も高いので検討してみましょう。
家族が手伝っている場合の節税
青色申告の個人事業主で、生計を同じくしている親族が事業に従事している場合、その専従者に支払った給料を経費にすることができます。それによって、所得を抑えて節税をすることが可能となります。
青色事業専従者は、15歳以上であり個人事業主の行っている事業に専従している人に限ります。事前にその専従者の給料の額の範囲の届出が必要です。労務内容に対する適正な対価であれば、経費にすることが可能です。
ただし、青色事業専従者として給料の支払いを受ける人は、扶養親族や控除対象配偶者として取り扱うことができませんのでご注意ください。
利益が出ているのであれば法人化の検討も
個人事業を運営していき、ある程度軌道に乗って利益が出るようになった場合、個人事業としてではなく法人化させた方が結果として節税となるケースがあります。
法人化を検討する上での一つのラインが500万円の所得といわれています。個人事業の場合、課税される所得には所得税と住民税、そして事業税がかかりますが、所得税は累進税率ですので所得の金額が大きくなると税率が高くなります。
法人化をすると社長が受け取った給与には「給与所得控除」という控除があるため、事業所得として受け取るより有利になります。所得が500万円以上になると、年間で十数万円以上税金が安くなる場合もあります。
さらに、売上が1,000万円以上の場合は、法人の資本金を1,000万円未満にすれば消費税の納付も最大2年間免除となります。そのため、より節税をすることができるとも言えるでしょう。
ただし、従業員がいる個人事業主の方は社会保険に加入しなければならなくなるため、社会保険料の発生や、設立費用のコスト、決算や法人税申告の事務負担の増加などのデメリットもありますので、税理士など専門家に相談したほうがよいでしょう。
様々な節税策を有効活用していこう
個人事業に対しては、意外にも多くの節税対策が存在しています。自分一人で行っているうちは気づかない節税対策もあります。税金の専門家である税理士に相談をすることで、法律に則って適切な節税対策をすることができます。