税理士との顧問契約で支払う費用・報酬の相場をまとめました。これから契約する税理士の費用が適正かどうかの材料にしたり、これから起業する人にどのくらいの顧問費用がかかるのか、という参考にしてもらえればと思います。
税理士の費用・報酬相場
税理士への費用は「年間売上」「訪問回数」「記帳代行の有無」の3つによって大きく費用が変わります。
年間売上 | 月額顧問料 | 記帳代行の依頼(月額) | 決算料 | ||
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訪問頻度 | |||||
毎月 | 3ヶ月に1度 | 6ヶ月に1度 | |||
1000万円以下 | 2万5000円~ | 2万円~ | 1万5000円~ | +5000円~ | 月額顧問料金の4ヶ月〜6ヶ月分 |
3000万円以下 | 3万円~ | 2万5000円~ | 2万円~ | +5000円~ | |
5000万円以下 | 3万5000円~ | 3万円~ | 2万5000円~ | +5000円~ | |
1億円以下 | 4万円~ | 3万5000円~ | 3万円~ | +1万円~ | |
5億円以下 | 6万円~ | 5万円~ | 4万円~ | +1万円~ | |
5億円以上 | 応相談 | 応相談 | 応相談 | 応相談 |
「年間売上が2500万円、訪問回数は半年に1度、記帳代行を依頼」このケースでの顧問費用は2.5万円の顧問料が相場となり、決算料は10万~15万円となります。
税理士費用を比較する際は年額で見ないと、決算料で変わってくるため、上記例だと、40万~55万円が年間で支払う費用となります。
税理士の費用が変動する理由
年間売上高、訪問回数(面談の回数・頻度)、記帳代行の有無、依頼する業務内容、担当者の質によって、顧問料などの税理士に支払う費用は大きく変わります。
従来は税理士の費用は全国一律でしたが、平成14年度から価格設定の自由化に伴い、税理士事務所によって料金体系はバラバラになりました。
税理士への費用が変わるポイントを一つ一つ説明していきます。
年間売上高
ほとんどの税理士事務所は年間売上高を基準に顧問費用を算出しています。これは売上高が増えれば増えるほど、取引件数(仕訳件数)が増えたり、納める税金が増えたり、節税手段が増えたりと、税理士側の仕事量と責任が増えるためです。
税理士事務所によっては年間売上高と従業員数の組み合わせで、顧問費用を算出しているところもあります。注意点として基準にしているのは売上から費用を引いた「利益」ではないという点です。
「利益」を基準にしたとしても、どれくらい取引件数が発生しているのかが把握できないため、「売上高」で判断されます。基本的に売上が増えれば増えれるほど、顧問費用が高くなると思っておけば間違いありません。
訪問回数(面談の回数・頻度)
税理士への費用は訪問回数によって大きく費用が変わります。毎月訪問をしてもらう場合は、月次決算といって、前月の収支状況をまとめ、今月/来月の方向性を打合せしたりと、リアルタイムに経営状況を可視化しつつ、会計面からビジネスの戦略を練ることができます。(月次決算は別途費用がかかる事務所もあります)
毎月でなく3ヶ月に一度の訪問の場合は四半期決算を出してもらう形になります。訪問回数が増えれば増えるほど、税理士側の労力が変わるため、費用が変動します。
起業したばかりで売上が少ない状況や、一人で会社経営している場合であれば、そこまで打合せする内容もないため、半年に一度や年に一度の訪問でも良いかもしれません。
顧問費用が格安の事務所では、訪問を一切しなかったり、逆に事務所まで来所してもらう、といった形で人件費を削減し、顧問費用の低価格化を実現している傾向があります。
記帳代行の有無
領収書などを勘定科目で仕訳し、帳簿に記帳する作業を税理士に依頼するかどうか、によって費用が変わります。また依頼する場合は月間何件くらいの取引件数(仕訳件数)になるか、にもよって費用が変わります。
記帳代行を依頼する場合は、月ごとや四半期ごとに領収書をまとめて税理士側に郵送をし、記帳をやってもらう流れになります。
記帳代行は資格保持者でなくても対応することができるため、記帳代行専門の会社が請け負っている場合があります。こういった所では格安で記帳代行を依頼することができますが、税理士がチェックしていない場合が多いため、品質に多少の不安が残ります。
依頼する業務内容
年末調整、消費税申告、給与計算などは必要か・依頼するかによって税理士への支払う費用は変わります。またスポットで発生する税務調査の立ち合い、事業承継・相続、助成金の相談をする場合も、別途オプション的な形で費用がかかります。
他にも資金調達やM&A、IPOなどを相談する場合、資金調達の場合は融資決定後に成果報酬で数パー、M&Aの場合はアドバイザリーやデューデリ業務で数十万といった形で費用が発生します。
またNPO法人や社団法人など、特殊な法人形態や、医療などの特殊な業種の場合、税理士側の負担が重くなり、顧問料が高くなる場合があります。
担当者の質
税理士法人のような、大きい事務所は担当者が資格保持者でない場合が多々あります。税理士事務所の社員数が3名を超えると、資格を持たない事務員が対応する可能性が高くなります。
格安な顧問費用でサービスを提供する税理士事務所は、そういった事務員が対応するケースが多かったり、経験が浅い若手税理士が多かったりする場合があります。
資格を持たない担当者が対応するといっても、最終的に申告書類をチェックし印鑑を押すのは税理士なので、サービスの質がどこまで変わるかは、正直わかりません。そのため単純にデメリットになるとは言えない側面もあります。(代表税理士は年配で高圧的な態度を取っていたが、担当者が事務員になってからは愛想が良く、コミュニケーションがとりやすくなったという経営者様もいます)