作成日:2020.05.30  /  最終更新日:2020.06.07

手間のかかる決算書作成は税理士に依頼すべきか

決算書の作成作業は、税務に関する十分な知識が必要であり、スピード感も必要となります。事業主にかかる負担はかなり大きくなります。間違った決算書を作らないためにも、税理士に作成依頼をするという選択肢もあります。

決算書は会社の業績や必要なことを知ることができるだけでなく、毎年の税務申告の時に添付をする重要な書類です。自分自身で作成することもできますが、顧問税理士に委託をすることも可能です。決算書について、詳しく解説していきます。

決算書作成の必要性とは

事業を運営しているなら決算書を作らなければなりません。非常に面倒なものであり、できれば見たくないという人もいるかもしれません。ですが、税務署への税務申告をする際にも必要ですし、そのほかの場面でも必要になることが多いです。

また、決算書というのはその会社における一年間の数値化されている記録です。いわば、経営における健康診断書ともいえるでしょう。

決算書を正しく作成して読み込むことで、経営者自身も見逃しがちな、経営実態を知ることができ、事業の効率化を図る糸口を見つけることができるでしょう。そのため、面倒ではありますが決算書を適切に作成して活用していくことが、事業運営において非常に重要な要素となってくるのです。

決算書の種類

決算書には大きく分けて4つの種類に分けることができます。

・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
・株主資本等変動計算書

決算書は、金融商品取引法、会社法、税法などの法令による会計制度の中で必要となります。(個人事業主の場合は、確定申告時に「青色決算書」「収支内訳書」という決められた書式での書類を添付する必要があります)

貸借対照表は、バランスシートやB/Sとも呼ばれています。決算日現在における会社が保有している現預金や売掛金、固定資産などの資産や、取引先に支払うべき買掛金や、銀行からの借入金などの財務状態を知ることができます。

損益計算書は、P/Lとも呼ばれています。会計期間における利益を知ることができ、売上に対して、原価はどれくらいかかっているのか?一般管理費がかかりすぎていないかなどを知ることができます。

キャッシュフロー計算書は、C/Fとも呼ばれています。損益計算書では、利益について確認はできますが、実際のお金の流れを読み取ることができません。キャッシュフロー計算書は、売掛金の回収状況や買掛金の支払い状況、借り入れや返済の状況を知ることができます。

株主資本等変動計算書は、S/Sとも呼ばれています。貸借対照表中の純資産である資本金や剰余金などの会計期間中の変動について知ることができます。

決算書作成までの流れ

決算書を作成するための主な流れは次のようになっています。

・決算時における残高の確定
・決算書を作成
・法人税や消費税などの計算

決算時の残高の確定とは、決算日における帳簿上の残高が、実情と合致しているのかどうかを確認します。たとえば、預金が通帳上の残高と一致しているか、帳簿上の在庫が実際の在庫と一致しているかなどを確認します。

もし、棚卸をした在庫に差異がある場合は、理由を確認して決算整理仕訳により実際残高と帳簿上の残高を合わせていきます。日々の記帳作業次第でこの残高確定作業が楽になっていきます。

次に、法令によって定められた書式で決算書を作成します。もし、会計処理方法などのルールを変更した場合は注記として記載します。決算書が完成すると確定申告書への添付や株主総会へ提出をします。

また、「税抜経理」の場合は、売上によって計上された仮受消費税や、仕入によって計上された仮払消費税を相殺して納付すべき消費税を計算する必要があります。さらに、所轄税務署や都道府県税事務所、市税事務所が設定している税率に合わせて法人税、法人都道府県民税、法人市民税、事業税などを計算します。

面倒な作業は税理士に依頼することもできる

決算書を作成するためには、かなりの作業が必要となってきます。その上、確定申告については、決算日から2か月以内に申告及び納税をしなければならないことから、正確性に合わせてスピード感も必要となってきます。また、各種税金の税率などは定期的に改正されることから、税務に関する詳しい知識が必要となります。

こういった作業を、事業主が行うのは非常に時間がかかる作業です。また、個人事業主の場合、経理担当の従業員を雇用していたとしても、少人数であることが多く非常に大変な作業となります。

そのような場合には、一連の決算作業をすべて税理士に依頼するという事もできます。その場合、こちらから必要な資料を提示するだけで、最新の法律に基づいた決算書を作成してもらえます。税理士に依頼しておけば、税務署からの問い合わせ対応なども行ってもらえる場合が多いので、その後の対応についても安心できるでしょう。

さらに、日々の記帳業務を丸ごと税理士に依頼することもできます。すべてまかせてしまえば、事業主の負担はかなり軽くなるでしょう。

税理士に依頼をして正確な決算書を

決算報告書は、短い期間の中で正確な決算書を作成しなければなりません。特に税金計算などは、間違えてしまうと後から税務署に指摘されてしまい、延滞税や加算税を支払わなければならなくなる可能性もあります。税理士に依頼することで、後の税務署からのと問い合わせ対応してもらうことも可能です。事業主の負担を少しでも減らしていくようにしましょう。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。