会社は決算で利益を確定し、利益に基づき法人税を計算し、同時に消費税も計算します。 法人税と消費税は、経理処理や工夫しだいで節税することができ、資金繰りに良い影響を与え会社経営にプラスとなります。 ただし、法人税と消費税の税法規定は複雑で、改正もあります。 いくつかの節税対策の事例を紹介し、また税法を熟知している税理士に節税対策を依頼した場合に得られるメリットについて、解説していきます。
法人税の節税対策事例
自社の税金が、なぜその金額になっているのかということを理解できていない経営者は多いです。一般的に、会社の「利益」と呼ばれるものと税務申告における「所得」というのは、似て非なるものです。小さなことでも節税をしていくことで、損金として加算して税金を減らすことができるようになります。
決算月の変更
例えば、3月決算の法人で、2月に莫大な利益が予想される場合があるとします。その際、1月に決算期を変更することで、2月の利益を翌期に先延ばしすることが可能です。そして、1年をかけてじっくりと節税対策をしていくことができるようになります。
少額減価償却資産
20万円以上の資産は固定資産となり、それぞれに耐用年数でしか経費計上をすることができません。しかし、10万以上20万円未満の場合、少額資産となり3年の定額償却ができるようになります。
ここで上げたのはあくまでも一例であり、そのほかにも、青色欠損金、商品在庫の評価損、店舗工事の処理、店舗保証金処理、店舗経営での経費処理など、ちょっとしたことでも様々な節税の方法がありますので、いろいろと税理士に相談するのも節税への近道です。
消費税の節税対策事例
消費税の納税額というのは、二つの計算方法があります。一般的に知られている方法としては、原則課税方式です。原則課税方式というのは、売り先からの仮受消費税から、自分が仕入れ先に支払った仮払消費税を差し引いて、残った仮受消費税を納税する方法です。
しかし、中小企業の場合は簡易課税方式を採用するほうが節税になる可能性があります。売り先からの仮受消費税は原則課税方式と同様の方法で計上しますが、仕入れ先への仮払い消費税は計算をせずに、一定のみなし仕入れ率をしようして算出した仮払消費税を計算し、簡単に消費税納税額を計算する方法です。
課税売上が5,000万円以下の企業であれば選択できますので、節税になる方式を選ぶとよいでしょう。設備投資がなく給与総額が6割を占めているような場合は、簡易課税方式のほうが節税になりやすいです。ただし、1度簡易課税方式に変更すると2年間はその方式を適用しなければなりません。そのため、近々大きな設備投資をする場合、本来還付になる消費税が還付にならなくなってしまうため、適切なタイミングで変更をするようにしましょう。
節税対策で得られるメリット
できる限り節税をして、納税額を減らしたいと考えている経営者は多いです。ただし、節税の方法によっては、資金繰りへの悪影響を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。特に業績が上がっている場合、経営者がしっかり帳簿管理ができていないほど忙しい場合に、その傾向が多い様です。
たとえば、決算期が近づいており、細かな利益はわからないけれども漠然とした利益が予想される場合、経費を使って利益を減らそうとしてしまうことがあります。
それによって、確かに税金を減らすことができるのですが、決算月に経費を使ってしまうとその経費の分だけ現預金が減少してしまいます。決算月の2か月後には法人税の納税が迫ってくるのですが、経費が未払金計上されていると、決算月の翌月、翌々月に支払いが発生することになってしまいます。法人税の納税と未払金の支払いが一気に現れることで、資金ショートを起こしてしまうケースが多いです。
そんなことはないと思ってしまう経営者も多いと思いますが、帳簿をしっかりつけていないと忘れてしまうケースがあるのです。忙しくて帳簿がつけられない場合は、税理士に委託する方法を考えても良いでしょう。
節税と脱税の違い
よく問われるケースとして、脱税と節税は同じではないのかという質問があります。これは、まったく異なりますので注意してください。脱税というのは、法律で規定されていることを違反することで、本来支払うべき税金よりも低く申告納付する行為であり、れっきとした犯罪行為です。一方で節税というのは、法律の範疇の中で認められた行為であり、法律に沿って適切に税金を低く抑える合法的な方法です。
納税額というのは、年に一度税務署に申告を行います。税務署はいったんその申告書をもとに納税を受けるものの、不正をしていないかどうか数年に一度税務調査を行います。この時に、脱税行為が認めれた場合、本来納付しなければならない税金のほかに、罰金が科される場合があります。悪質だと判断されると重加算税が課せられることもあります。本来納付すべき税金に加えて、35~40%の税金が加算されます。脱税により税金を抑えたつもりが余計な税金を納付する結果となりますので、脱税は決してしないようにしましょう。
適切な節税方法を税理士に相談しよう
経営者は税金について知らないことが多いです。さまざまな節税方法が世の中には存在しています。税理士であれば、その道のプロであります。自分の会社にあった節税方法を提案してくれるはずです。まずは、相談をしてみてはいかがでしょうか?