個人事業主が税理士に支払う費用は、依頼する範囲によって年間12〜50万円と大きく幅があります。確定申告だけなら5〜15万円、顧問契約なら月額1〜3万円+決算料が相場です。この記事では、依頼範囲別・年商別の費用目安を具体的な金額で整理し、費用を抑えるための現実的な方法を解説します。
この記事の目次
個人事業主の税理士費用は年間12〜50万円が相場
個人事業主が税理士に支払う費用は、年間トータルで12〜50万円程度です。この金額に幅がある最大の理由は「何をどこまで頼むか」で費用が変わるからです。大きく分けると、確定申告だけを単発で依頼するパターンと、年間を通じて顧問契約を結ぶパターンの2つがあります。
日本税理士会連合会によると、全国の税理士登録者数は82,451人(令和8年2月末日現在)であり、個人事業主向けのサービスを提供する事務所も数多く存在します(出典 日本税理士会連合会 税理士登録者数)。事務所の数が多い分、費用にも競争原理が働いており、同じサービス内容でも事務所によって数万円の差が出ることは珍しくありません。
確定申告だけなら年間5〜15万円
顧問契約を結ばず、年に1回の確定申告だけを税理士に依頼する場合、費用は5〜15万円が目安です。白色申告であれば5〜10万円、青色申告(65万円控除)であれば10〜15万円が一般的な価格帯となります。
| 申告の種類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 白色申告 | 5〜10万円 |
| 青色申告(10万円控除) | 7〜12万円 |
| 青色申告(65万円控除) | 10〜15万円 |
この方法は「とにかく費用を抑えたい」「日常の経理は自分でできる」という個人事業主に向いています。(ただし、申告時期の1〜3月は税理士側も繁忙期のため、直前の依頼だと割増料金になるケースがあります)
注意点として、確定申告のみの依頼では、税理士に渡す資料の整理は自分で行う必要があります。領収書やレシートの分類、売上の集計など、事前準備を怠ると追加の作業費用を請求されることもあります。遅くとも12月中には税理士に連絡を取り、必要書類の一覧を確認しておくのが理想です。
顧問契約を結ぶと月額1〜3万円+決算料
年間を通じて税理士に相談できる顧問契約の場合、月額顧問料1〜3万円に加え、決算料(確定申告料)として月額顧問料の4〜6か月分が別途かかります。年間トータルでは16〜54万円程度になる計算です。
顧問契約の最大のメリットは、日常的に税務相談ができることです。経費の判断に迷ったとき、売上が急に伸びたとき、届出書の提出期限が近いときなど、必要なタイミングで税理士に確認できるのは大きな安心材料です。(正直なところ、年に1回の確定申告時にまとめて相談するより、日頃から相談できる環境の方が節税対策も打ちやすいです)
決算料の金額は事務所ごとに設定が異なります。「月額顧問料の4〜6か月分」が一般的ですが、固定額で設定している事務所もあります。たとえば月額顧問料が2万円の場合、決算料は8〜12万円が目安となり、年間の総額は32〜36万円程度です。契約前に「月額顧問料と決算料を含めた年間の総支払額」を必ず確認してください。
依頼範囲別の費用を比較すると「記帳代行の有無」が最大の変数
税理士の顧問料は「何を頼むか」で大きく変わりますが、その中でも最も費用に影響するのが記帳代行(日々の取引を会計ソフトに入力する作業)の有無です。記帳代行を頼むか自分でやるかで、月額5,000〜1万円の差が生まれます。
自分で記帳すれば月額5,000〜1万円安くなる
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使って自分で記帳(自計化)すれば、税理士に支払う月額費用を5,000〜1万円抑えられます。クラウド会計ソフトの利用料は月額1,000〜3,000円程度なので、差し引きでも年間3〜8万円ほどの節約になります。
2026年時点ではほぼすべての税理士事務所がクラウド会計に対応しているため、「クラウド会計対応かどうか」で事務所を選ぶ必要はもうありません。それよりも、自分で入力したデータを定期的にチェックしてくれるかどうかの方が重要です。
自計化で失敗しやすいのは、日々の入力を溜め込んでしまうことです。「まとめてやろう」と思っていると、年末に数百件の仕訳を一気に処理する羽目になります。最低でも月に1回、理想は週に1回のペースで入力する習慣をつけてください。(自分でやれば無料ですが、その時間を本業に使った方が得だと感じたら、記帳代行を検討するタイミングです)
記帳代行込みの顧問料は月額2〜3.5万円が目安
記帳代行を含めた顧問料の相場は月額2〜3.5万円です。この金額には、毎月の仕訳入力・月次試算表の作成・税務相談が含まれているのが一般的です。
| 依頼範囲 | 月額費用の目安 | 含まれるサービス |
|---|---|---|
| 顧問契約のみ(自計化) | 1〜2万円 | 税務相談・データチェック・決算申告 |
| 顧問契約+記帳代行 | 2〜3.5万円 | 上記+仕訳入力・試算表作成 |
| 顧問契約+記帳代行+給与計算 | 3〜5万円 | 上記+従業員の給与計算・年末調整 |
「月額1万円」と謳っている事務所でも、記帳代行は別料金というケースがほとんどです。見積もりを取る際は、記帳代行が含まれているかどうかを必ず確認してください。(この点を見落として契約後に驚く方が非常に多いです)
年商別の顧問料相場は500万円刻みで上がる
税理士の顧問料は、個人事業主の年商(年間売上高)によっても変わります。年商が大きくなると仕訳数が増え、税務の複雑さも増すため、その分費用が高くなる構造です。
| 年商 | 月額顧問料の目安 | 決算料の目安 | 年間合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 500万円以下 | 1〜1.5万円 | 5〜8万円 | 17〜26万円 |
| 500万〜1,000万円 | 1.5〜2.5万円 | 8〜12万円 | 26〜42万円 |
| 1,000万〜2,000万円 | 2.5〜3.5万円 | 10〜15万円 | 40〜57万円 |
| 2,000万〜3,000万円 | 3〜4万円 | 12〜18万円 | 48〜66万円 |
上記はあくまで目安であり、業種や仕訳数、依頼内容によって前後します。飲食業や小売業のように日々の取引件数が多い業種は、仕訳数に応じて追加料金がかかることもあります。
年商と顧問料の関係は「売上が2倍になれば顧問料も2倍」という単純な比例ではありません。年商500万円と1,000万円では月額5,000〜1万円程度の差ですが、年商が上がるにつれて税務処理の複雑さが増すため、段階的に料金が上がっていく仕組みです。
年商500万円以下なら月額1万円台で依頼できる
年商500万円以下の個人事業主であれば、月額1〜1.5万円で顧問契約を結べる事務所は普通にあります。「税理士は高い」というイメージを持っている方も多いですが、この規模であれば月々の負担は飲み会1〜2回分程度です。
年商500万円以下なら取引の種類もシンプルなことが多いため、税理士選びで最も重要なのはレスポンスの速さです。専門性の違いは正直あまり関係ありません。質問してから3営業日以内に返答がある事務所を基準にしてください。
年商1,000万円を超えると消費税申告が加わり費用が上がる
年商が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり、所得税の確定申告に加えて消費税の申告義務が発生します。国税庁によると、基準期間(原則として2年前)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が生じます(出典 国税庁 消費税の納税義務の免除)。
消費税申告を税理士に依頼すると、追加費用として年間3〜5万円程度がかかります。インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入以降、消費税関連の処理は複雑化しており、この部分だけでも税理士に任せる価値は十分にあります。(消費税の計算ミスは追徴課税のリスクがあるため、自力でやるのはおすすめしません)
「格安」を謳う税理士の費用が安い理由は対応範囲の絞り込み
「月額5,000円」「顧問料0円」といった格安料金を打ち出している税理士事務所が増えています。こうした事務所の料金が安い理由は、対応範囲を絞り込んでいるからです。具体的には、記帳代行が別料金、面談なし(チャットのみ)、税務相談の回数制限ありといった条件が付いているケースがほとんどです。
格安の事務所を選ぶこと自体は問題ありません。重要なのは、その金額に何が含まれていて、何が含まれていないかを事前に把握することです。「安い税理士 = 質が悪い」ではなく、「安い税理士 = 対応範囲が狭い」と考えてください。
見積もり時に確認すべき3つのポイント
格安の税理士に限らず、見積もりを取る際は以下の3点を必ず確認してください。
- 記帳代行が含まれるか、別料金か(含まれない場合の追加費用はいくらか)
- 決算料・確定申告料は月額顧問料に含まれるか、別途発生するか(決算料の相場は月額顧問料の4〜6か月分)
- 税務相談の方法と回数制限(対面・電話・チャット、月に何回まで対応してもらえるか)
この3点を確認するだけで、「思っていたより高かった」という契約後のギャップはほぼ防げます。見積もりの段階でこれらの質問に明確に答えてくれない事務所は、契約後のコミュニケーションにも不安が残ります。
もうひとつ見落としがちなのが、年末調整や償却資産の申告といったオプション業務の費用です。従業員を雇っている場合は年末調整の費用が1人あたり3,000〜5,000円程度かかることもあります。「顧問料に全部込み」と思い込まず、基本料金に含まれる業務の範囲を書面で確認しておくと安心です。
費用を抑えたいなら「自計化+確定申告のみ依頼」が最もコスパが良い
費用を最小限に抑えたい個人事業主には、「自分で記帳して、確定申告だけ税理士に依頼する」というパターンが最もコストパフォーマンスに優れています。この方法であれば、年間の税理士費用は5〜15万円に収まります。
具体的な手順は以下のとおりです。
- クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を導入し、日々の取引を自分で入力する
- 年末〜1月頃に税理士に確定申告を依頼し、1年分のデータを渡す
- 税理士がデータをチェックし、申告書を作成・提出する
この方法のデメリットは、年間を通じた税務相談ができない点です。経費の判断に迷ったとき、届出書の提出期限が近いときなど、タイムリーに相談できる環境がありません。年商が1,000万円を超えて消費税申告が必要になったタイミングや、従業員を雇い始めたタイミングでは、顧問契約への切り替えを検討すべきです。
まずは税理士紹介サービスで複数の見積もりを取り、確定申告のみの依頼と顧問契約の費用差を比較してみてください。実際の金額を見てから判断した方が、納得感のある選択ができます。
複数の税理士から見積もりを取ると相場観がつかめる
税理士の費用に「定価」はありません。同じ年商・同じ依頼内容でも、事務所によって数万円〜十数万円の差が出ることは普通です。だからこそ、最低でも2〜3社から見積もりを取って比較することが重要です。(編集部が調査したところ、3社から見積もりを取ると、最安値と最高値で年間10万円以上の差がつくことも珍しくありません)
複数の見積もりを比較するメリットは、費用の妥当性が判断できるようになることです。1社だけの見積もりでは、それが高いのか安いのか判断のしようがありません。3社の見積もりが手元にあれば、「この事務所は記帳代行込みでこの価格なのか」「こっちは安いけど面談なしか」といった比較ができるようになります。
自分で税理士を探すのが面倒な場合は、無料の税理士紹介サービスを使えば、希望条件に合った税理士を複数紹介してもらえます。自分で1社ずつ問い合わせるより効率的です。
見積もりを依頼する際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。
- 年商(年間売上高)の概算
- 業種と主な取引内容
- 現在の記帳方法(会計ソフトの有無)
- 希望する依頼範囲(確定申告のみ・顧問契約・記帳代行の有無など)
- 従業員の有無と人数
そもそも個人事業主に税理士が必要かどうか迷っている方は個人事業主に税理士は必要か?もあわせてご覧ください。
フリーランスの方はフリーランスが税理士をつけるべきタイミングも参考になります。
最後に
個人事業主の税理士費用は、確定申告のみなら年間5〜15万円、顧問契約なら月額1〜3万円+決算料が相場です。費用に最も影響するのは記帳代行の有無であり、自分で記帳すれば月額5,000〜1万円の節約になります。
「安ければいい」「高ければ安心」ではなく、自分の事業規模と必要なサポート範囲を明確にした上で、複数の税理士から見積もりを取ることが最も確実な方法です。費用だけでなく、レスポンスの速さや対応範囲を含めて総合的に比較してください。
税理士選びで迷っている方は、税理士ドットコムの無料紹介サービスを活用してみてください。希望条件に合った税理士を無料で紹介してもらえます。











