作成日:2026.01.24  /  最終更新日:2026.03.16

税理士に記帳代行を頼むと月額いくら?費用相場と自計化との比較

記帳代行を税理士に依頼すると、月額いくらかかるのか。結論から言えば、個人事業主なら月額5,000〜1万5,000円、法人なら月額1万〜3万円が相場です。ただし、この金額は仕訳数や業種によって大きく変動します。この記事では、記帳代行の費用相場を規模別に整理した上で、自分で記帳する「自計化」との損得を比較します。

記帳代行の費用相場は月額5,000円〜3万円

記帳代行とは、日々の取引データ(領収書・請求書・通帳コピーなど)を税理士側に渡し、仕訳入力から試算表の作成までを代行してもらうサービスです。

費用は「月額固定」か「仕訳数に応じた従量課金」のいずれかで設定されるケースが大半です。以下が一般的な相場感です。

事業形態 月間仕訳数の目安 記帳代行の月額費用
個人事業主(小規模) 50仕訳以下 5,000〜8,000円
個人事業主(中規模) 50〜100仕訳 8,000〜1万5,000円
法人(小規模) 100〜150仕訳 1万〜2万円
法人(中規模) 150〜300仕訳 2万〜3万円

仕訳数が月300件を超えるような事業者の場合は、別途見積もりが必要になります。(飲食店や小売業など、現金取引が多い業種は仕訳数が膨らみやすいため、事前に概算を確認しておくべきです)

なお、上記の金額はあくまで記帳代行「だけ」の費用です。税理士への顧問料や決算申告料は含まれていません。記帳代行の見積もりを取る際は、「この金額に何が含まれていて、何が別料金なのか」を必ず確認してください。ここを曖昧にしたまま契約すると、後から追加費用が発生して「聞いていた金額と違う」というトラブルにつながります。

記帳代行と顧問料は別料金であるケースが多い

記帳代行の費用を調べる際に最も注意すべき点があります。「月額1万円〜」と謳っている税理士事務所でも、その金額に記帳代行が含まれていないケースがほとんどです

税理士への支払いは、大きく以下の3つに分かれます。

費用項目 内容 個人事業主の目安
月額顧問料 税務相談・経営アドバイス・月次チェック 月1万〜3万円
記帳代行料 仕訳入力・帳簿作成 月5,000〜1万5,000円
決算・申告料 年1回の決算書作成・確定申告 年5万〜15万円

つまり、顧問契約に記帳代行を加えると、個人事業主でも月額1万5,000〜4万5,000円程度が総額の目安になります。「思ったより高い」と感じるかもしれませんが、記帳代行込みの金額で比較しないと、契約後に想定外の請求が来ることになります。

実際に多いのが、「月額1万円」という広告を見て問い合わせたら、それは顧問料のみの金額で、記帳代行を付けると月額2万円以上になるというパターンです。税理士の費用を比較する際は、必ず「記帳代行込みの月額総額」と「決算・申告料の年額」を確認し、年間トータルコストで比較することが鉄則です。

記帳代行だけを単発で依頼することも可能

顧問契約を結ばず、記帳代行だけを依頼する方法もあります。この場合、顧問料が発生しないぶん費用は抑えられますが、いくつかの制約を理解しておく必要があります。

記帳代行のみの依頼は月額5,000〜1万円が目安

記帳代行だけを受け付けている事務所や記帳代行専門業者に依頼すると、月額5,000〜1万円程度で済む場合があります。ただし、税務相談には対応しないケースが多く、確定申告や決算は別途依頼するか自分で行う必要があります。

記帳代行専門業者は税理士事務所とは異なり、あくまで「帳簿の入力作業」を請け負うサービスです。税務に関する判断やアドバイスは税理士にしかできないため、記帳代行のみを外注して確定申告は自分で行うか、申告時期に別途税理士に依頼するという使い方になります。

記帳代行のみの場合に注意すべき3つのポイント

  • 税務相談や節税の提案は含まれない
  • 試算表の読み方や経営上のアドバイスは受けられない
  • 確定申告時に別途費用が発生する(申告料5万〜15万円)

年間トータルで見ると、記帳代行のみ+確定申告の単発依頼で年間11万〜27万円程度かかります。顧問契約を結んだ場合の年間費用(18万〜54万円程度)と比較して、どこまでのサービスが必要かを判断することが大切です。

仕訳数で費用が変わる仕組みを理解しておく

記帳代行の料金体系は、大きく分けて2パターンあります。

料金体系 仕組み 向いている事業者
月額固定制 仕訳数にかかわらず毎月定額 仕訳数が安定している事業者
従量課金制 1仕訳あたり50〜100円で計算 仕訳数が月によって大きく変動する事業者

従量課金制の場合、1仕訳あたり50〜100円が一般的な単価です。月100仕訳なら5,000〜1万円という計算になります。

ここで注意したいのが、「仕訳数」の数え方です。事務所によって「1取引=1仕訳」とする場合と、「借方・貸方で2仕訳」とカウントする場合があります。見積もり時に必ず確認してください。(カウント方法の違いで費用が倍近く変わることもあります)

自計化すれば記帳代行料の月5,000〜1万5,000円を削減できる

記帳代行の費用を抑える最も確実な方法は、自分で記帳する「自計化」です。クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計オンラインなど)を使えば、簿記の知識がなくても日々の入力は可能です。

自計化した場合としない場合の年間コストを比較すると、差額は無視できない金額になります。

項目 記帳代行あり 自計化(自分で記帳)
会計ソフト代 不要(税理士側で入力) 年1万〜3万円
記帳代行料 月5,000〜1万5,000円 0円
顧問料 月1万〜3万円 月5,000〜2万円(自計化割引あり)
年間の差額 年6万〜18万円の節約

自計化すると、記帳代行料がゼロになるだけでなく、顧問料自体も下がる事務所が多いです。自分で会計ソフトに入力している顧客は、税理士側の作業負担が減るため、割引を設けている場合があります。

自計化のハードルはクラウド会計ソフトで大幅に下がった

「自分で記帳なんてできるのか」と不安に思う方も多いですが、2026年時点ではクラウド会計ソフトの性能が大きく向上しています。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引データが自動で取り込まれ、勘定科目の提案まで自動で行われます。

実際にやることは、自動取り込みされた取引データの科目が正しいかを確認し、必要に応じて修正するだけです。慣れれば月に30分〜1時間程度の作業で完了します。(ただし、最初の1〜2か月は初期設定や操作に慣れる時間が必要です。この期間は税理士に設定を手伝ってもらうのも手です)

自計化に向いている人・記帳代行に向いている人

自計化と記帳代行のどちらを選ぶかは、コストだけで決められません。自分の事業スタイルや使える時間を踏まえて判断する必要があります。

自計化が向いているのは仕訳数が少ない事業者

  • 月の取引件数が50件以下
  • 取引パターンが単純(コンサル、Web制作など)
  • クラウド会計ソフトの操作に抵抗がない
  • 毎月30分〜1時間の入力時間を確保できる

記帳代行が向いているのは取引量が多い事業者

  • 月の取引件数が100件を超える
  • 現金取引が多い(飲食店・小売業など)
  • 本業が忙しく、経理に割く時間がない
  • 簿記や会計の知識に自信がない

(正直なところ、フリーランスで月の仕訳が30件程度なら、クラウド会計ソフトで自計化した方が圧倒的にコスパは良いです。その時間で本業に集中した方が結果的に得ですが、記帳自体がストレスになるなら代行を頼むのも合理的な判断です)

記帳代行の費用を抑える3つの方法

記帳代行を依頼する場合でも、工夫次第で費用を下げることは可能です。

領収書・請求書を整理してから渡す

税理士に渡す資料がバラバラだと、整理作業に時間がかかり、追加料金が発生する場合があります。日付順に並べて、用途ごと(交通費・接待費・消耗品など)に分類しておくだけで、記帳代行の作業効率が上がり、費用交渉の余地が生まれます。特にレシートが何の支払いか分からない場合、メモを添えておくだけでも税理士の確認作業が減り、結果的にコスト削減につながります。

銀行口座やクレジットカードを事業用に分ける

個人用と事業用の口座が混在していると、仕訳の際に「これは事業経費か、私的な支出か」を一つひとつ確認する必要が出てきます。事業用の口座とカードを分けるだけで、「事業主貸」「事業主借」の仕訳が激減し、記帳代行の費用も下がります。口座の開設自体は無料でできるため、まだ分けていない方は早めに対応しておくべきです。

複数の税理士から見積もりを取る

記帳代行の費用は事務所によって差があります。同じ仕訳数でも月額5,000円の事務所もあれば1万5,000円の事務所もあります。最低でも2〜3社から見積もりを取り、サービス内容と費用のバランスを比較してください。

複数の税理士を比較したい場合は、税理士紹介サービスを使うと、希望の予算や条件に合った税理士を効率的に探せます。

個人事業主には記帳・帳簿の保存義務がある

そもそも、なぜ記帳が必要なのかを確認しておきます。個人事業主には所得税法に基づく記帳・帳簿保存の義務があります。白色申告・青色申告を問わず、すべての事業者が対象です。

国税庁によると、事業所得等を有する個人は、収入金額や必要経費に関する日々の取引を帳簿に記録し、その帳簿を一定期間保存しなければなりません(出典 国税庁 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について)。

帳簿の種類 保存期間
法定帳簿(収入・経費の記録) 7年
その他の帳簿(補助簿) 5年

記帳代行を依頼する場合も、自計化する場合も、この保存義務は事業者自身に課されている点を忘れないでください。税理士に記帳を依頼していたとしても、帳簿の最終的な管理責任は事業者本人にあります。

また、青色申告を選択している場合は、複式簿記(正規の簿記の原則)による記帳が求められます。複式簿記に対応した帳簿を作成することで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。記帳代行を依頼する場合も、青色申告に対応した複式簿記での記帳を依頼しているか確認しておきましょう。白色申告の簡易帳簿で記帳されていた場合、控除額が大幅に減ってしまいます。

記帳代行を依頼する際の流れ

記帳代行を初めて依頼する場合、以下の流れで進むのが一般的です。

  1. 税理士事務所に問い合わせ、月間の仕訳数や業種を伝える
  2. 見積もりを受け取り、サービス範囲(記帳のみか、試算表作成まで含むかなど)を確認する
  3. 契約後、毎月の領収書・請求書・通帳コピーなどを税理士に送付する
  4. 税理士側で仕訳入力・帳簿作成を行い、月次の試算表が納品される

資料の送付方法は、郵送・持参のほか、スキャンデータをクラウド経由で共有する方法が主流になっています。2024年1月から電子取引データの電子保存が完全義務化されたこともあり、紙の領収書だけでなくデジタルデータの管理も求められるようになりました(出典 国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト)。

記帳代行と税理士変更を同時に検討する手もある

現在の税理士に記帳代行を依頼しているが費用が高いと感じている場合、税理士の変更を検討するのも一つの方法です。

日本税理士会連合会のデータによると、全国の税理士登録者数は82,451人(令和8年2月末時点)に上ります(出典 日本税理士会連合会 税理士登録者数)。これだけの数の税理士がいるため、同じサービス内容でも費用に差が出るのは当然です。

「今の税理士に不満はないが、記帳代行の費用だけが気になる」という場合は、まず現在の税理士に自計化への切り替えを相談してみてください。それでも費用感が合わなければ、他の税理士への乗り換えを検討する段階です。

税理士を変更する場合、決算月の2〜3か月前までに申し出るのが一般的なマナーです。年度途中での変更も可能ですが、引き継ぎの手間を考えると、期首のタイミングで切り替えるのが最もスムーズです。変更先の税理士に「記帳代行込みで月額いくらか」を明確に確認し、現在の費用と比較してから判断してください。

記帳代行を依頼するメリットについて詳しくは税理士に記帳代行を依頼するメリットをご覧ください。

法人の顧問料全体の相場を知りたい方は法人の税理士顧問料の相場もあわせてご確認ください。

最後に

記帳代行の費用は、個人事業主で月額5,000〜1万5,000円、法人で月額1万〜3万円が相場です。ただし、この金額は顧問料とは別にかかるケースが大半であり、総額で比較しないと正確な判断ができません。

自計化によって記帳代行料を削減できる可能性はありますが、取引量が多い事業者や経理作業にストレスを感じる方は、記帳代行を活用した方が本業に集中できます。重要なのは、自分の事業規模と使える時間を踏まえて、費用対効果で判断することです。

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執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。