作成日:2026.02.15  /  最終更新日:2026.03.16

法人設立時に税理士へ支払う費用の相場と依頼するメリット

法人設立を検討している方にとって、税理士への依頼費用は気になるポイントです。結論から言うと、法人設立時に税理士へ支払う費用は5〜30万円程度が相場で、設立手続きだけでなく設立後の届出や節税対策まで任せられるのが大きなメリットです。この記事では、法人設立時の税理士費用の内訳と、依頼すべきかどうかの判断基準を解説します。

法人設立時の税理士費用は5〜30万円が相場

法人設立を税理士に依頼した場合の費用は、依頼する範囲によって大きく変わります。設立手続きの代行だけなら5〜10万円程度ですが、顧問契約とセットにすると設立費用を大幅に割引する事務所も多いです。

依頼内容 費用相場
設立手続きの相談・アドバイスのみ 0〜5万円
設立書類の作成サポート 5〜10万円
設立手続き+各種届出の代行 10〜20万円
設立+顧問契約セット 設立費用0〜5万円(顧問料は別途月額)

(正直なところ、設立手続きだけを単発で依頼するケースは少なく、顧問契約とセットで依頼する方が費用的にも有利です)

顧問契約とセットなら設立費用が無料になるケースもある

多くの税理士事務所では、設立後の顧問契約を前提に法人設立のサポート費用を割引、または無料にしています。税理士側としても、設立時から関わることで顧問先を確保できるため、設立費用を「初期投資」として吸収する仕組みです。

ただし「設立無料」の場合でも、顧問料の最低契約期間(1〜2年)が設定されていることが多いため、契約条件は事前に確認してください。月額顧問料が2万円で2年縛りなら、実質48万円の契約になります。

税理士費用とは別に法定費用がかかる

税理士への報酬とは別に、法人設立には法定費用(登録免許税や定款認証手数料など)がかかります。これは税理士に依頼してもしなくても必ず発生する費用です。

費用項目 株式会社 合同会社
登録免許税 15万円(資本金の0.7%、最低15万円) 6万円(資本金の0.7%、最低6万円)
定款認証手数料 3〜5万円(資本金額により変動) 不要
定款の収入印紙代 4万円(電子定款なら不要) 4万円(電子定款なら不要)
謄本手数料等 約2,000円 約2,000円
法定費用の合計目安 約20〜24万円 約6〜10万円

登録免許税は、株式会社の場合は資本金の額に1,000分の7を乗じた金額で、最低15万円です。合同会社は最低6万円となります(出典 国税庁 登録免許税の税額表)。定款認証手数料は資本金100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円です。

税理士に依頼せず自分で設立すれば10〜20万円の節約になる

法人設立の手続き自体は、自分で行うことも可能です。法務局のウェブサイトに申請書の様式や記載例が公開されており、手順どおりに進めれば専門家に依頼しなくても登記は完了します。

自分で設立した場合、税理士への報酬5〜20万円がそのまま浮く計算です。ただし、手続きに慣れていない場合は書類の不備で法務局から補正を求められることもあり、時間的なコストは覚悟が必要です。(初めての法人設立で、書類を一発で通せる人はほとんどいません)

自分で設立する場合に注意すべき落とし穴

  • 定款の事業目的の書き方を間違えると、後で変更登記(登録免許税3万円)が必要になる
  • 資本金の額や決算期の設定を深く考えずに決めてしまい、税負担が増えるケースがある
  • 設立後に必要な税務届出(法人設立届出書、青色申告の承認申請書など)の提出を忘れるリスクがある
  • 消費税の免税期間を最大限活かす資本金・事業年度の設計ができない

特に決算期の設定と資本金の額は、設立後の税負担に直結します。設立手続きの費用だけを見て「自分でやった方が安い」と判断すると、設立後に数十万円単位で損をする可能性があります。

法人設立を税理士に依頼する3つのメリット

税理士に法人設立を依頼するメリットは、単に書類作成を代行してもらえることだけではありません。設立時点から税務の専門家が関わることで、設立後の経営にも大きな影響があります。

設立時の税務判断を間違えずに済む

法人設立時には、税務上重要な判断がいくつもあります。資本金の額、決算期、届出書類の種類と提出期限など、これらを適切に設定するかどうかで設立後の税負担が変わります。

たとえば、青色申告の承認申請書は設立から3か月以内に提出しなければなりません。この期限を過ぎると、最初の事業年度は白色申告になり、欠損金の繰越控除(赤字を翌年以降に持ち越して利益と相殺できる制度)が使えなくなります。税理士に依頼していれば、こうした期限管理を任せられます。

設立後の届出を漏れなく代行してもらえる

法人設立後に提出が必要な届出書類は、税務署だけでなく都道府県や市区町村にも提出する必要があります。

届出書類 提出先 提出期限
法人設立届出書 税務署 設立から2か月以内
青色申告の承認申請書 税務署 設立から3か月以内(または最初の事業年度終了日のいずれか早い方)
給与支払事務所等の開設届出書 税務署 開設から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認申請書 税務署 随時(適用を受けたい場合)
法人設立届出書 都道府県税事務所・市区町村 自治体により異なる

これらの届出を自分で行おうとすると、まず何を出せばいいのか調べるところから始まります。税理士に依頼すれば、必要な届出を漏れなく、期限内に提出してもらえます。(届出の漏れや期限切れは、取り返しがつかないものもあるので、ここは専門家に任せるべき部分です)

設立直後から経理・税務の体制を整えられる

法人は設立初日から帳簿をつける義務があります。個人事業主の延長で「あとでまとめてやろう」と考えていると、決算時に膨大な作業が発生します。設立時から税理士と顧問契約を結んでおけば、会計ソフトの初期設定や勘定科目の設定など、経理体制の構築をサポートしてもらえます。

法人設立で税理士と司法書士の役割は異なる

法人設立の手続きには、税理士だけでなく司法書士も関わります。両者の役割を理解しておくと、誰に何を依頼すべきかが明確になります。

業務内容 税理士 司法書士
定款作成・認証手続き 単独では不可(提携司法書士が対応) 対応可
設立登記申請 単独では不可(提携司法書士が対応) 対応可
税務関連の届出 対応可 対応不可
資本金・決算期の税務アドバイス 対応可 対応不可
設立後の顧問契約 対応可 対応不可

実際には、税理士事務所が提携している司法書士と連携して登記手続きを進めるケースがほとんどです。税理士に法人設立を依頼すれば、登記手続きも含めてワンストップで対応してもらえるため、自分で司法書士を別途探す手間は基本的にかかりません。

法人設立時の税理士費用を抑える3つの方法

法人設立の費用を少しでも抑えたい場合、以下の方法が有効です。

顧問契約とセットで依頼して設立費用を下げる

前述のとおり、顧問契約を前提に依頼すれば設立費用を大幅に割引してもらえるケースが多いです。設立後に税理士を探す予定があるなら、最初からセットで依頼した方が総額では安くなります。

合同会社を選べば法定費用を約14万円節約できる

株式会社にこだわらないのであれば、合同会社での設立を検討する価値があります。合同会社なら登録免許税が最低6万円(株式会社は15万円)で、定款認証も不要です。法定費用だけで約14〜18万円の差が出ます。

合同会社は「株式会社より格が低い」というイメージを持つ方もいますが、税務上の扱いは株式会社とまったく同じです。取引先が法人格の種類を気にしない業種であれば、合同会社で十分です。(実際、AmazonやAppleの日本法人も合同会社です)

複数の税理士から見積もりを取って比較する

法人設立の費用は税理士事務所によって差があります。1社だけに相談して即決するのではなく、2〜3社から見積もりを取ることで適正な費用感がわかります。見積もりを依頼する際は、設立費用だけでなく顧問料や決算料も含めた年間の総額で比較してください。

複数の税理士を効率的に比較したい場合は、税理士紹介サービスを利用すると、希望条件に合った税理士を無料で紹介してもらえます。

法人設立後の顧問料は月額2〜5万円が目安

法人設立時の費用だけでなく、設立後に継続的にかかる顧問料も把握しておく必要があります。法人の顧問料は個人事業主よりも高めで、月額2〜5万円が相場です。

年商規模 月額顧問料の目安 決算料の目安
1,000万円以下 月額1.5〜3万円 10〜15万円
1,000万〜3,000万円 月額2〜4万円 15〜20万円
3,000万〜5,000万円 月額3〜5万円 20〜30万円
5,000万〜1億円 月額4〜6万円 25〜35万円

(設立直後は売上がほとんどない場合も多いので、「設立1年目は月額1〜2万円、軌道に乗ったら増額」といった柔軟な料金設定をしてくれる事務所もあります。交渉の余地は十分にあります)

顧問料に含まれるサービス範囲は必ず確認する

月額顧問料の金額だけでなく、その金額に何が含まれているかを確認してください。特に以下の項目は事務所によって対応が分かれます。

  • 記帳代行が含まれるか、別料金か
  • 決算料は月額に含まれるか、別途発生するか
  • 年末調整・法定調書の作成費用
  • 税務調査への立会い費用
  • 電話・メールでの税務相談の回数制限

「月額1万円」と表示されていても、決算料が別途20万円かかるなら年間32万円です。月額3万円で決算料込みの事務所(年間36万円)と比較すると、実際の差はわずか4万円です。表面上の月額だけで判断しないことが重要です。

法人設立時に税理士へ依頼すべき人・自分でやっても問題ない人

すべての法人設立に税理士が必要というわけではありません。自分の状況に合わせて判断してください。

税理士に依頼すべきケース

  • 初めての法人設立で、何から手をつけていいかわからない
  • 設立後すぐに事業を開始するため、届出漏れのリスクを避けたい
  • 資本金の額や決算期について専門的なアドバイスがほしい
  • 設立後も継続的に税務サポートを受ける予定がある
  • 本業に集中したいので、事務手続きに時間をかけたくない

自分で設立しても問題ないケース

  • 過去に法人設立の経験がある
  • 合同会社で設立する予定で、手続きがシンプル
  • 簿記や会計の知識がある程度ある
  • 設立後の経理・税務も自分で対応する予定

ただし、自分で設立する場合でも、設立後の税務届出だけは税理士に確認してもらうことをおすすめします。届出の漏れや期限切れは後から取り返しがつかないケースがあるためです。

法人設立に強い税理士を選ぶポイント

法人設立を依頼する税理士を選ぶ際は、費用だけでなく以下のポイントも確認してください。

法人設立の実績が豊富かどうかを確認する

税理士の業務は幅広く、法人設立を頻繁に手がけている事務所とそうでない事務所があります。法人設立の実績が多い事務所は、司法書士との連携体制が整っており、手続きもスムーズに進みます。初回の面談で「年間何件くらい法人設立を手がけていますか」と聞いてみてください。

設立後のサポート体制を重視する

法人設立は「ゴール」ではなく「スタート」です。設立手続きだけでなく、設立後の会計・税務をどこまでサポートしてくれるかが重要です。特に設立1年目は、経理体制の構築や初めての決算など、わからないことが次々に出てきます。

質問したときのレスポンスの速さは、税理士選びで最も重要な基準の一つです。面談時に「メールの返信は通常どのくらいかかりますか」と確認してください。3営業日以内に返信がある事務所であれば、問題ありません。

料金体系が明確な事務所を選ぶ

見積もり段階で「設立費用」「月額顧問料」「決算料」「記帳代行料」がそれぞれいくらかかるか、明確に提示してくれる事務所を選んでください。料金体系が曖昧な事務所は、後から追加費用が発生するリスクがあります。

現在、日本全国で約8万人の税理士が登録されており(出典 日本税理士会連合会 税理士登録者数)、法人設立に対応できる税理士は数多くいます。税理士紹介サービスを活用すれば、法人設立の実績が豊富な税理士を効率的に見つけられます。

法人設立時の税理士選びについて詳しくは独立開業・会社設立をするときには税理士に依頼すべき?もあわせてご覧ください。

設立後の顧問料の相場については法人の顧問料相場を参考にしてください。

最後に

法人設立時の税理士費用は5〜30万円が相場ですが、顧問契約とセットで依頼すれば設立費用を大幅に抑えられるケースが多いです。法定費用(登録免許税や定款認証手数料)は税理士に依頼してもしなくても変わりませんが、税務上の判断ミスや届出漏れによる損失を考えると、設立時から税理士に関わってもらう価値は十分にあります。

費用を抑えつつ信頼できる税理士を探したい方は、税理士ドットコムの無料紹介サービスを活用してみてください。法人設立に強い税理士を、希望の予算に合わせて無料で紹介してもらえます。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。