ライバーや配信者として収入が出始めると、避けて通れないのが確定申告です。投げ銭やスパチャの所得区分、配信機材や衣装の経費計上、プラットフォームごとに異なる収入の扱いなど、論点が独特で自力での対応が難しい分野でもあります。この記事では、ライバー・配信者の確定申告で押さえるべきポイントと、配信業に強い税理士5社の料金・特徴を比較します。結論として、年間収入が一定規模を超えたら早い段階で配信業に詳しい税理士に相談しておくのが、税務調査リスクを避ける最も確実な方法です。
この記事の目次
ライバーの投げ銭収入は雑所得か事業所得かで税負担が大きく変わる
Pococha・17LIVE・SHOWROOMなどのライブ配信プラットフォームから受け取る投げ銭やスパチャ、ギフト報酬は、すべて課税対象の所得です。問題は、その収入を「雑所得」として申告するか、「事業所得」として申告するかで、使える控除や経費の範囲が大きく変わる点にあります。
事業所得として認められれば最大65万円の青色申告特別控除が使える
配信業を継続的・反復的に行い、社会通念上「事業」と呼べる規模で活動している場合は、事業所得として申告できる可能性があります。事業所得として認められると、青色申告特別控除(最大65万円の所得控除)や、赤字が出た場合に給与所得など他の所得と相殺できる損益通算といったメリットがあります。
国税庁の所得税基本通達では、帳簿書類の記録・保存がある場合は原則として事業所得として扱う方針が示されています(出典 国税庁 所得税基本通達35-2)。(つまり、きちんと帳簿を付けているかどうかが事業所得認定の大きな分かれ目になります)
一方、配信収入が年間300万円以下で帳簿を付けていない場合は、原則として雑所得として扱われます。雑所得は青色申告特別控除も損益通算も使えないため、できる限り事業所得として申告できる体制を整えておく方が、税負担の面で有利になります。
副業ライバーは年間所得20万円超で確定申告が必要
会社員として給与をもらいながら副業でライブ配信をしている場合、配信による所得(収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になるため注意してください(出典 国税庁 確定申告が必要な方)。
なお、専業のライバーや個人事業主として活動している場合は、所得が48万円(基礎控除額)を超えれば確定申告が必要です。
Pococha・17LIVEなどプラットフォームごとに収入の支払形態が異なる
主要なライブ配信プラットフォームでは、投げ銭やイベント報酬の計上ルールが微妙に異なります。仕訳のミスや計上漏れを防ぐには、各プラットフォームの仕様を理解しておく必要があります。
| プラットフォーム | 収入形態 | 注意点 |
|---|---|---|
| Pococha | 時間ダイヤ・コアダイヤ等の報酬 | 事務所経由の場合は手数料控除後の入金額に注意 |
| 17LIVE | ギフトポイント換金 | イベント報酬や別途ボーナスの計上が必要 |
| SHOWROOM | ギフト・イベント賞金 | 賞金は一時所得扱いになるケースもある |
| YouTube Live | スーパーチャット・チャンネルメンバーシップ | Google AdSenseと合算で計上 |
| TikTok LIVE | ギフトのダイヤモンド換金 | 米ドル建ての為替換算が必要 |
事務所所属ライバーは支払調書の有無を必ず確認する
ライバー事務所に所属している場合、報酬は事務所経由で支払われるため、年明けに支払調書が発行されることが一般的です。ただし、すべての事務所が支払調書を発行するわけではないため、確定申告前に必ず事務所に確認してください。
投げ銭の入金タイミングと売上計上日がズレる
多くのプラットフォームでは、投げ銭が発生した月の翌月以降に入金されます。しかし、会計上は「報酬が確定した日」で売上計上するのが原則です(発生主義)。12月分の投げ銭が1月入金になっても、12月の売上として計上する必要があります。
配信機材・衣装・通信費はライバーの主要な経費項目
ライバー・配信者の経費計上は、業務との関連性をどう説明できるかがポイントです。プライベートと共用するものは「按分」によって業務利用分のみを経費計上します。
経費にしやすい主要項目
- スマートフォン・配信用PC・タブレットなどの配信機材
- マイク・カメラ・照明・グリーンバックなどの撮影機材
- 配信用の通信費(家庭用Wi-Fiは事業按分)
- 衣装・コスメ・ヘアメイク代(配信専用と説明できるもの)
- 事務所手数料・プラットフォーム手数料
- 動画編集ソフト・サムネ作成ツールの利用料
- 配信用に借りているスタジオ代・コワーキングスペース代
- 事業按分した家賃・光熱費
衣装・美容費は「配信専用」と説明できるかが分かれ目
衣装代やコスメ代は、配信業とプライベートの線引きが難しい項目の代表格です。普段使いできるアイテムは経費否認されるリスクが高く、配信専用の衣装やステージメイク用品など「業務以外で使わない」と説明できるものに限定するのが安全です。(実際の税務調査では、Instagramやプライベートの投稿写真と照合される事例もあります)
10万円超の機材は減価償却が必要
配信用PCやカメラなど1点10万円を超える機材は、購入年に全額経費にできず、耐用年数に応じて減価償却します。ただし青色申告者なら、30万円未満の少額減価償却資産の特例で年300万円まで一括経費化できます。具体的にどう処理すべきかは、配信業に詳しい税理士に相談するのが確実です。
家賃・光熱費は配信に使う割合で按分する
自宅で配信している場合、家賃や電気代の一部を経費に計上できます。一般的には、配信に使う部屋の面積割合や、1日のうち配信に使う時間の割合で按分するのが現実的です。「家賃の50%を経費」のように根拠なく按分するとリスクが高く、図面や配信時間の記録など客観的な根拠を残しておくのが安全です。(按分割合が高すぎるとプライベート利用とみなされ否認される事例も少なくありません)
確定申告の経費処理に不安がある方は、無料の税理士紹介サービスでライバー対応の税理士を探してみてください。
年商1,000万円超のライバーは消費税課税事業者になる
2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者になります。トップライバーや人気YouTuberは、消費税の納税が大きな負担になるため、早めの対策が必要です。
インボイス制度の影響を受けるケースもある
事務所や法人クライアントとの取引でインボイス(適格請求書)の発行を求められる場合、課税事業者として登録するかどうかの判断が必要になります。インボイス未登録のままだと、取引先側で仕入税額控除ができず、報酬の値下げ交渉につながる可能性があります(出典 国税庁 インボイス制度の概要)。
所得が一定規模を超えたら法人化も選択肢になる
個人の所得税は累進課税で最大45%(住民税と合わせると最大55%)ですが、法人税は中小企業で実効税率約23%です。年間所得が500〜800万円を継続的に超える見込みなら、法人化による節税メリットが出てきます。法人化のシミュレーションは、配信業の売上構造に詳しい税理士に依頼するのが確実です。
ライバー・配信者に強い税理士5社の料金と特徴
ここからは、ライバー・配信者向けの税務サポートに対応している税理士事務所5社を紹介します。料金は各事務所のHP掲載情報をもとにしています(最新の料金は各社にお問い合わせください)。
経営サポートプラスアルファ
- ライバー・配信者の確定申告に特化したプランあり
- 会計入力の完全外注オプション(月額2万円〜)
- 平日・土日祝日9:00〜23:00受付
- 面談頻度を年1回〜4回で柔軟に選択可能
ライバー・配信者向けの料金プランをHPで明示している数少ない事務所の一つです。会計入力を完全に丸投げできるオプションがあるため、配信活動に集中したいライバーに向いています。(ただし丸投げプランは年間60万円超になるため、ある程度収入規模が大きい方向けです)
料金体系(個人事業主・丸投げプラン)
| プラン | 顧問料(月額) | 確定申告料(年) |
|---|---|---|
| 年1回面談 | 34,000円 | 100,000円 |
| 年2回面談 | 37,000円 | 100,000円 |
| 年4回面談 | 42,000円 | 100,000円 |
法人化した場合は、月額44,000〜50,000円+法人決算料180,000円/年の料金体系になります。
- 電話番号
- 03-6914-7208(24時間受付)
- 対応形式
- オンライン(Zoom)・対面
リトラス税理士法人
- YouTuber・SNSクリエイター専門の税理士法人
- 融資・補助金申請に強い認定支援機関
- 提携社労士による助成金支援にも対応
- 渋谷・大阪に拠点あり、オンライン完結も可能
YouTuberに特化した税理士法人として知られていますが、ライバーやSNSクリエイター全般にも対応しています。融資や補助金に強いため、配信機材への投資や法人化を見据えている方に適しています。料金はHPに明記されていないため、初回無料相談で見積もりを取る形になります。
- 住所(渋谷)
- 東京都渋谷区神南1-10-5 ラ・ヴィスタ渋谷2階
- 住所(大阪)
- 大阪府大阪市西区西本町1-7-1 信濃橋FJビル6F
- 電話番号
- 0120-062-010(受付9:30〜18:00、土日祝除く)
税理士法人植村会計事務所
- ライバー(配信者)専門の税理士サービスを提供
- 初回相談・法人化シミュレーションが無料
- 会社設立支援も無料(株式会社13.8万円・合同会社1.6万円の実費のみ)
- 渋谷マークシティの好アクセス
ライバー専門のページを設けている事務所で、確定申告から法人化までワンストップで対応できます。法人化シミュレーションが無料なので、所得が増えてきて法人化を検討中のライバーには相談先として有力な選択肢です。
料金体系
| 契約形態 | 年間費用の目安 |
|---|---|
| 個人・顧問契約 | 44万〜84万円 |
| 法人・顧問契約 | 58万〜115万円 |
| 個人・確定申告のみスポット | 15〜20万円 |
| 法人・決算申告のみスポット | 30〜50万円 |
顧問料は個人で月2〜3万円、法人で月3〜4.5万円が目安です。仕訳数や売上規模で変動します。
- 住所
- 東京都渋谷区道玄坂1-12-1 渋谷マークシティW22階
- 営業時間
- 9:00〜18:00(問い合わせは24時間365日受付)
税理士法人ハンズオン
- YouTuber向けの定額プラン(月額19,000円)が業界最安級
- 領収書・売上書類を郵送するだけで申告完了
- 年商3,600万円以下の事業者が対象
- 記帳代行・青色申告特別控除対応も込み
YouTuber向けに特化したパッケージプランを提供しており、ライバー・配信者にも応用可能です。月額19,000円という料金設定は配信者向け税理士サービスの中では最安級で、副業や開業初期のライバーに向いています。(ただし対象は年商3,600万円以下なので、トップライバーには別プランの相談が必要です)
料金体系
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 月額顧問料 | 19,000円(通常35,000円) |
| 決算申告料 | 230,000円/年(通常250,000円) |
| 対象 | 年商3,600万円以下 |
- 住所
- 東京都千代田区神田東松下町18 高正ビル5階
- 最寄駅
- 銀座線・JR山手線 神田駅 徒歩3分
- 電話番号
- 03-6260-9830(平日9:00〜17:00)
- 対応エリア
- 訪問は東京・神奈川・千葉・埼玉/全国Zoom対応
宮嶋公認会計士・税理士事務所
- 公認会計士・税理士のダブルライセンスで対応
- 外資系経営コンサルティングやCFO経験を活かした経営支援
- IT・デジタル分野に強くライバー対応に明るい
- 初回相談無料・オンライン対応可能
世田谷区代沢に拠点を置く公認会計士・税理士事務所で、ライバー向けのサービスページを設けています。経営コンサルティングの視点から、配信収入の伸びに合わせた法人化や節税の設計まで踏み込んでくれるのが強みです。料金は月額顧問報酬2〜3万円以上、決算申告は顧問報酬の4〜6ヶ月分が目安となっています。
ライバー対応の税理士を選ぶ際は配信業界の理解度を確認する
ライバー・配信者の確定申告は、一般的な個人事業主とは異なる論点が多い分野です。税理士なら誰でも対応できるわけではなく、配信業の収入構造や経費の判断基準を理解している専門性が求められます。
事務所所属の有無で確認すべきポイントが変わる
事務所所属ライバーの場合、報酬は給与所得ではなく事業所得・雑所得として支払われるケースが多く、確定申告の対象となります。事務所手数料の処理や支払調書の扱いに慣れている税理士でないと、申告書の記載でつまずく可能性があります。
クラウド会計に対応している税理士を選ぶと日常の経理が楽になる
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計に対応している税理士なら、配信プラットフォームからの入金データやAmazonでの機材購入履歴を自動連携でき、日々の記帳が大幅に楽になります。2026年現在、クラウド会計に対応していない税理士はほぼいませんが、契約前に「使い慣れているクラウド会計サービスは何か」を確認しておくと安心です。
税務調査リスクへの対応経験があるか確認する
ライブ配信業は急成長分野で税務署も監視を強めています。経費計上の妥当性や所得区分の判定について、税務調査での説明実績がある税理士に依頼すると、いざというときの対応がスムーズです。
料金や対応内容は各税理士事務所のHPに掲載されている情報をもとにしています。実際の契約前には必ず最新の料金プランと対応範囲を直接確認してください。仕訳数や売上規模、追加サービスの有無により料金は変動します。
ライバーが税理士に依頼するタイミングは年間所得が増え始めた時点が目安
「いつから税理士に頼むべきか」はライバーから多い質問の一つです。編集部の見解として、以下のいずれかに当てはまる段階で税理士への相談を始めるのが現実的です。
- 年間の配信収入が100万円を超え始めた
- 副業から専業への切り替えを検討している
- 機材投資が大きくなり経費の判断が難しくなった
- 事務所との契約形態や報酬計算が複雑化してきた
- 消費税の課税事業者になりそう(年商1,000万円超)
- 法人化を視野に入れている
初期段階で自分で確定申告を行い、後年になってから依頼する方も多いですが、過去の処理に不備があると修正申告が必要になるケースもあります。早めに相談しておけば、最初から正しい記帳ルールで運用できます。
最後に
ライバー・配信者の税務は、投げ銭の所得区分・プラットフォームごとの収入計上・配信機材や衣装の経費判断など、独特の論点が多い分野です。配信業に詳しい税理士に依頼することで、税務調査リスクを下げつつ、青色申告特別控除や法人化などの節税メリットを最大限活用できます。年間収入が増えてきたタイミングで、早めに相談先を確保しておくのがおすすめです。
税理士選びで迷っている方は、税理士ドットコムの無料紹介サービスを活用してみてください。配信業に対応できる税理士を無料で紹介してもらえます。











