作成日:2026.05.10  /  最終更新日:2026.05.04

学習塾・家庭教師に強い税理士5選|塾経営の確定申告と費用相場

学習塾や家庭教師として独立すると、月謝の売上計上、講師人件費、教材費の経費処理など、教育業ならではの会計処理が発生します。この記事では、塾経営や家庭教師の確定申告で押さえるべき税務ポイントと、学習塾・教育業に強い税理士5社を紹介します。結論として、月謝制ビジネス特有の売上計上や講師の外注費・給与の判定は自力で正しく処理しにくく、開業初期から教育業に詳しい税理士に任せた方が税務リスクを抑えられます。

この記事の目次

個人塾の所得は事業所得、家庭教師は規模により事業所得か雑所得

個人で塾を経営している場合、その収入は基本的に事業所得として申告します。一方、家庭教師は契約形態と継続性によって事業所得と雑所得のどちらに該当するかが変わるため、判定基準を理解しておく必要があります。

事業所得と認められれば青色申告特別控除65万円が使える

事業所得として認められると、青色申告特別控除(最大65万円の所得控除)や損益通算(赤字を他の所得と相殺できる仕組み)が使えます。国税庁の通達では、社会通念上「事業」と称するに至る程度の規模で行われているか、帳簿が継続的に記帳されているかが判定の目安となります(出典 国税庁 所得税基本通達35-2)。

個人で塾を運営して生計を立てている場合は、ほぼ事業所得として扱われます。家庭教師でも、生徒数を抱えて継続的に収入を得ているなら事業所得として認められる可能性が高いです。(学生アルバイトとして単発で家庭教師を行っている場合は雑所得扱いになるケースが多いです)

副業の家庭教師は年間所得20万円超で確定申告が必要

会社員が副業で家庭教師をしている場合、給与所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。家庭教師の収入から教材費や交通費などの必要経費を差し引いた金額が所得となります。

個人事業主として独立して家庭教師を行う場合は、所得の金額が48万円(基礎控除額)を超えると確定申告の対象です。

月謝の売上計上は発生主義で行う

入金日ではなく授業を提供した月の売上として計上する

塾や家庭教師の月謝は、入金日ベースではなく「サービスを提供した月」を基準に売上計上します。これを発生主義といいます。3月分の月謝を2月末に前受けしても、それは2月の売上ではなく3月の売上として計上する必要があります。

口座振替や前納を採用している塾では、前受金が貸借対照表に計上されることになります。決算期をまたぐ前受金の処理は、税務調査でも頻繁にチェックされる論点です。

入会金は受領時、教材費は引き渡し時に売上計上する

入会金は返金されない性質のものであれば、受領した時点で売上計上します。教材費は教材を生徒に引き渡したタイミングで売上に計上するのが原則です。短期講習や夏期講習の受講料も、講習を実施した期間に対応させて計上します。

売上計上のタイミングは事業形態や規約によって異なります。実際の処理は契約書や規約の内容を確認した上で、税理士に判断を仰いでください。

講師人件費は「外注費」か「給与」かで税務処理が変わる

業務委託契約でも実態が雇用なら給与扱いになる

塾運営で最も税務リスクが高いのが、講師への支払いを「外注費」として処理するか「給与」として処理するかの判定です。契約書のタイトルが「業務委託契約」でも、実態が指揮命令下での労働であれば、税務署は給与として認定します。

判定基準は次のような要素で総合的に判断されます。

  • 授業日時・場所・指導方法を塾が指定しているか
  • 講師が他の生徒・他の塾の仕事を自由に受けられるか
  • 授業に必要な教材・教室を講師自身が用意しているか
  • 欠勤時の代替を講師自身が手配できるか
  • 報酬が時間単位か成果単位か

外注費として処理した支払いが税務調査で給与認定されると、源泉徴収漏れで多額の追徴課税を受けるリスクがあります。(業務委託で雇っているつもりの個別指導塾が、税務調査で軒並み給与認定されているのは業界では知られた話です)

給与扱いになると源泉徴収・社会保険の対応が必要

講師を給与として雇用する場合、給与から源泉徴収を行い、年末調整や法定調書合計表の提出が必要になります。常時使用する従業員が一定数を超えると社会保険の加入義務も発生します。

教材費・自宅兼塾の家事按分は経費にできる

教材費・テキスト代・コピー代は全額経費にできる

塾運営や家庭教師業務で使用する教材費は、原則として全額が必要経費に算入できます。具体的な例は以下です。

  • テキスト・問題集・参考書の購入費
  • プリント用紙・コピー代
  • ホワイトボード・マーカー・文房具
  • 授業で使用する教具(地球儀・実験器具等)
  • オンライン教材・学習アプリの利用料

自宅で塾を開いている場合は家事按分が必要

自宅の一部を塾の教室として使っている場合、家賃・水道光熱費・通信費を事業使用分と私生活分に按分します。按分基準は床面積や使用時間が一般的です。

費目 按分基準の例
家賃 教室として使う床面積の比率
電気代・水道代 使用時間または面積比率
通信費(インターネット) 事業使用時間の比率
自動車(家庭教師の移動) 事業使用日数または走行距離

家事按分の比率は合理的な根拠を示せる範囲で設定する必要があります。実態と乖離した按分比率は税務調査で否認される可能性があるため、根拠資料を残しておくことが重要です。

フランチャイズ加盟金は繰延資産で5年償却が原則

FC加盟金は支出時に全額経費にできない

個別指導塾や学習塾のフランチャイズに加盟した場合、加盟金として数十万円から数百万円を支払うケースがあります。この加盟金は支出時に全額を経費にすることはできず、繰延資産として5年で均等償却する必要があります(出典 国税庁 No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合)。

たとえば加盟金として300万円を支払った場合、初年度に全額300万円を経費にはできず、毎年60万円ずつ5年間にわたって経費計上することになります。(このルールを知らずに開業初年度に全額経費計上してしまい、税務調査で否認されるケースがあります)

ロイヤリティ・研修費は支払った年の経費にできる

毎月のロイヤリティ(売上に対する一定割合の支払い)や研修費は、支払い時点で全額経費に計上できます。加盟金とロイヤリティでは税務上の扱いが異なるため、契約内容を整理しておく必要があります。

塾の月謝は消費税の課税取引

学習塾の授業料は消費税の非課税にはならない

「教育」と聞くと消費税が非課税になるイメージがありますが、消費税法で非課税とされる教育は学校教育法に規定する学校・専修学校・各種学校の授業料に限定されています。一般的な学習塾・予備校・家庭教師の月謝は消費税の課税取引です出典 国税庁 No.6149 学校教育費の非課税範囲)。

年間売上が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になり、生徒から預かった消費税を申告・納付する義務が発生します。

インボイス登録の判断は取引先の構成で決まる

インボイス制度に登録するかどうかは、取引先(生徒・保護者)の状況で判断します。生徒・保護者の大半が個人で、消費税の仕入税額控除を必要としていなければ、無理にインボイス登録をする必要はありません。一方、法人向けの研修事業や法人契約の家庭教師を行っている場合は、取引先からインボイス発行を求められる可能性があります。

学習塾・家庭教師に強い税理士5選

税理士法人加美税理士事務所

参照元 https://zeirishi-hk-firm.com/

  • 学習塾・個別指導塾に特化した税理士事務所
  • 月額顧問料1万円から、料金体系が明朗
  • 全国オンライン対応で初回相談無料

東京・銀座を拠点にしながら、全国の学習塾・個別指導塾を支援している税理士法人です。塾業界に特化していることを公式に打ち出しており、講師人件費の取扱いや月謝の売上計上など、塾特有の論点に精通しています。

料金が公開されていて月額1万円から依頼できる点は、開業初期の塾経営者にとって安心材料です。(HPに料金表を載せていない事務所が多い中で、明朗な料金提示は希少です)

料金体系

サービス 料金
法人顧問料 売上1,000万円以下 月額10,000円
法人顧問料 売上1,000万〜2,000万円 月額12,000円
法人顧問料 売上2,000万円超 月額15,000円から
決算報酬 60,000円から
個人確定申告 30,000円から

顧問契約なしのスポット対応や税務調査サポートにも対応しています。

住所
東京都中央区銀座3-11-5 第2中山ビル602
電話番号
03-6278-7318
対応エリア
全国(オンライン対応)
URL
https://zeirishi-hk-firm.com/

柳生雅信税理士事務所(中小学習塾専門税理士事務所)

参照元 https://e-jyukukeiei.jp/

  • 塾業界11年の実務経験を持つ税理士が代表
  • 税務申告と経営コンサルティングをトータル支援
  • 開業支援・経費削減・利益向上の相談に対応

東京・台東区に拠点を置く中小学習塾専門の税理士事務所です。代表税理士が塾業界での実務経験を持つため、現場感覚を踏まえた助言が受けられる点が特徴です。

税務処理だけでなく、塾経営の「経費削減」「利益向上」「開業支援」といった経営コンサルティングを得意としています。(数字面のアドバイスを期待する塾経営者には相性が良い事務所です)

料金体系

料金プランはHP上で公開されておらず、個別見積もりとなります。問い合わせ時に事業規模や依頼内容を伝えて見積もりを依頼してください。

住所
東京都台東区台東3-12-5 クラシックビル304号室
電話番号
03-6806-0748
対応エリア
全国対応
URL
https://e-jyukukeiei.jp/

税理士法人センチュリーパートナーズ

参照元 https://www.century-partners.jp/category/1908059.html

  • 学習塾・ピアノ教室・英会話教室など教育関連業に対応
  • 会社設立支援1,100件超、税務調査・無申告対応2,300件超
  • 顧問契約は約1,200件と実績豊富

東京・恵比寿を拠点とする税理士法人で、学習塾を含む教育関連事業の経営・税務に強みを持っています。スポーツインストラクターや音楽教室など、月謝制の教育関連サービス全般に対応しています。

会社設立支援や創業融資のサポート実績が豊富なため、塾の法人化を検討しているタイミングでも相談しやすい事務所です。「各種届出書の作成」「年末調整」など毎年生じる業務は顧問料に含まれる料金体系を採用しています。

料金体系

具体的な月額顧問料はHP上で公開されておらず、事業規模や依頼内容に応じた個別見積もりとなります。会社設立代行は0円(毎月10社限定)、個人事業開業手続も0円のキャンペーンを実施しています。

住所
東京都渋谷区恵比寿南2-21-2 恵比寿サウスヒル301
電話番号
03-6712-2680
対応エリア
全国対応
URL
https://www.century-partners.jp/

ひかり税理士法人

参照元 https://www.hikari-tax.com/column/taxsaving/6005.html

  • 全国8拠点に展開する大規模税理士法人
  • 学習塾・教育業の税務に関する情報発信が豊富
  • 司法書士・行政書士・社労士法人とのワンストップ対応

京都に本社を置き、全国8拠点で展開する税理士法人です。学習塾・教育業向けの税務記事を多数発信しており、業界知識のアップデートに積極的な姿勢が見えます。

関連の士業法人を束ねたワンストップサービスを提供しているため、塾の法人化や雇用契約・労務管理まで含めた相談ができる点が大規模法人ならではのメリットです。

料金体系

HP上に「税務顧問料金表」のページがありますが、具体的な金額は事業規模や依頼内容によって変動します。問い合わせ時に詳細見積もりを依頼してください。

住所
京都市中京区東洞院通竹屋町下る(本社)
電話番号
0120-296-371
対応エリア
全国(札幌・京都・福岡など8拠点)
URL
https://www.hikari-tax.com/

SS総合会計(税理士法人)

参照元 https://ss-group.co.jp/service/school

  • 「税理士を超えた経営のパートナー」を掲げる経営支援型
  • 若手経営者向け「経営輝塾」を運営
  • 経営数字の見える化と経理立ち上げ支援に強み

静岡・浜松を拠点とする税理士法人で、税務処理にとどまらない経営コンサルティングを掲げています。若手経営者向けの「経営輝塾」を運営しており、塾経営者が学べる経営セミナーも提供しています。

「経営数字の見える化」と「丁寧な経理立ち上げ指導」を強みとしているため、開業したばかりで経理の体制ができていない塾経営者には相性が良い事務所です。(数字に苦手意識のある経営者でも、つまずきポイントを丁寧に教えてくれる事務所です)

料金体系

料金プランはHP上で公開されておらず、無料面談・相談で個別に見積もりを行います。具体的な見積もりは問い合わせから依頼してください。

住所
静岡県浜松市中央区中沢町24-15
電話番号
0120-746-743
対応エリア
全国対応
URL
https://ss-group.co.jp/

学習塾・家庭教師の税理士費用相場は年間10〜30万円

個人塾の顧問料は月額1〜2万円台、法人塾は月額2〜4万円

編集部が調査した範囲では、教育業の税理士顧問料の平均は個人経営で年間約17万円、法人で年間約30万円が目安です。事業規模や依頼内容によって金額は変わります。

事業規模・依頼内容 費用目安
個人塾・家庭教師(確定申告のみ) 5〜15万円
個人塾(顧問契約・月額) 1〜2万円
法人塾(顧問契約・月額) 2〜4万円
決算報酬 顧問料の4〜6ヶ月分
法人化サポート 10〜30万円

講師数が多くなるほど人件費の処理が複雑になるため、講師数が増えてきた塾は早めに税理士へ相談することをおすすめします。

複数事務所から相見積もりを取って比較する

事務所ごとに料金体系・サービス範囲・業界経験は大きく異なります。1社の見積もりだけで決めず、最低でも2〜3社の比較検討を行ってください。

業界経験を踏まえて複数の税理士を比較したい場合は、無料の税理士紹介サービスを利用すると、希望の予算感や業種に合った事務所を効率的に紹介してもらえます。

学習塾・家庭教師が税理士に依頼するべきタイミング

講師を雇用または業務委託で抱えるタイミング

講師を抱えて塾の運営を始める段階で、税理士への相談を強く推奨します。理由は、講師人件費の「外注費か給与か」の判定を誤ると、税務調査で多額の追徴課税を受けるリスクがあるためです。

契約形態を整える前に税理士に相談しておけば、契約書の文言から実態に至るまで、税務リスクを抑えた仕組みが作れます。

年商が1,000万円を超えるタイミング

年商1,000万円を超えると消費税の課税事業者になり、消費税の申告・納付義務が発生します。簡易課税と原則課税のどちらが有利か、課税事業者選択届出書を出すべきかなど、選択を誤ると税負担が大きく変わるため、税理士に判断を仰ぐべきタイミングです。

法人化を検討するタイミング

個人塾の所得が年間500〜700万円を超えてくると、法人化による節税メリットが出てくるラインに入ります。法人化のシミュレーションは税理士でないと正確に行えないため、所得が伸びてきたタイミングで一度相談する価値があります。

最後に

学習塾や家庭教師の税務は、月謝の発生主義での売上計上、講師人件費の外注費・給与判定、自宅兼塾の家事按分、フランチャイズ加盟金の繰延処理など、教育業ならではの論点が多くあります。特に講師人件費の取扱いは税務調査で必ずチェックされる重要論点であり、独学で正確に処理するのは現実的ではありません。教育業の税務に詳しい税理士に依頼することで、税務リスクを抑えながら塾経営に集中できます。

税理士選びで迷っている方は、税理士ドットコムの無料紹介サービスを活用してみてください。学習塾・家庭教師など教育業に対応できる税理士を無料で紹介してもらえます。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。