作成日:2026.05.28  /  最終更新日:2026.05.04

弁護士・士業事務所に強い税理士5選|士業の確定申告と費用相場

弁護士・司法書士・行政書士などの士業として独立開業すると、毎年の確定申告や日々の経理業務が発生します。この記事では、士業特有の税務論点と、弁護士・士業事務所に強い税理士5社を紹介します。結論として、預り金の処理や源泉徴収、共同事務所の経費按分など、士業ならではの会計処理は煩雑なため、業界実務に詳しい税理士に依頼するのが現実的です。

この記事の目次

弁護士の事業所得は確定申告が必須

弁護士事務所を独立開業している弁護士は、毎年の確定申告が必須です。法律事務所を経営する場合、収入は事業所得として扱われます。

勤務弁護士でも確定申告が必要なケースが多い

所属事務所から給与を受け取る勤務弁護士であっても、国選事件・法律相談・個人受任案件などで給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です(出典 国税庁 確定申告が必要な方)。

個人受任で受け取った報酬には源泉徴収税額が控除されているため、確定申告で精算しないと税金を払い過ぎたままになるケースがあります。(給与所得しかないと思い込んで申告していない勤務弁護士は、本来戻ってくるはずの還付金を受け取れていない可能性があります)

事業所得は青色申告で最大65万円控除を活用できる

独立開業している弁護士は、青色申告を選択することで最大65万円の青色申告特別控除を活用できます。複式簿記で記帳し、e-Taxで電子申告することが要件です(出典 国税庁 青色申告特別控除)。

弁護士・士業事務所が押さえるべき税務論点

士業事務所の会計処理には、一般の事業者にはない独特の論点があります。実務上、間違いやすいポイントを整理します。

源泉徴収税率は10.21%(100万円超は20.42%)

個人の弁護士・税理士・司法書士などに報酬を支払う場合、依頼者側で10.21%の源泉徴収を行います。1回の支払金額が100万円を超える部分については20.42%が適用されます(出典 国税庁 No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金)。

ただし、弁護士法人や税理士法人など内国法人に支払う場合、源泉徴収は不要です。個人事務所か法人かで取扱いが変わるため、請求書を出す側も受け取る側も注意が必要です

預り金(敷金・着手金・成功報酬の前受け)は売上ではない

弁護士業務では、依頼者から事件処理に関する実費や費用の一部を「預り金」として預かるケースが多くあります。これは事件終了時に精算するもので、その時点では売上には計上しません。

裁判所への印紙代、訴訟費用、出張費用などの預り金を売上に計上してしまうと、利益が過大に計算され、所得税が増えてしまいます。逆に、業務終了時に精算せず預り金のまま残してしまうと、税務調査で売上計上漏れを指摘される可能性があります。(預り金の管理は実務でもっとも間違えやすい論点の一つです)

売上計上は発生主義(現金主義ではない)

弁護士の売上は、入金日ではなく役務提供が完了した日で計上します。着手金は契約時、成功報酬は事件解決時、顧問料は契約期間に応じて月割で計上するのが原則です。

収入の種類 計上タイミング
顧問料 契約期間に応じて月割計上
着手金 契約締結時に計上
成功報酬 事件終了時に計上
時間制報酬 業務遂行ごとに計上
国選報酬 裁判所からの支払決定時

消費税は弁護士報酬全般が課税対象

弁護士業務の報酬は基本的にすべて消費税の課税対象です。年間の課税売上が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が生じます(出典 国税庁 No.6501 納税義務の免除)。

インボイス制度に登録している場合は、売上規模にかかわらず消費税の申告と納付が必要です。法人クライアントが多い士業事務所では、インボイス登録がほぼ必須となっています。

共同事務所と弁護士法人で税務上の扱いが変わる

弁護士・士業の業界では、複数の専門家が事務所を共同利用する形態が一般的です。共同事務所と弁護士法人では、税務上の扱いが大きく異なります。

共同事務所は経費按分で計上する

複数の弁護士が同じ事務所を共有する「共同事務所」の場合、家賃・水道光熱費・通信費・事務員の給与などを各弁護士で按分します。按分基準は使用面積や売上比率など、実態に即した合理的なものを採用するのが基本です。

按分の基準を毎年変更すると、税務調査で恣意的な経費操作と疑われる可能性があるため、一度決めた基準は継続して適用します。(按分の根拠を文書化しておくと、税務調査時の説明がスムーズです)

弁護士法人化は所得が高い段階での選択肢

個人事業の所得税率は累進課税で最大45%、住民税と合わせると最大55%です。一方、法人税率は中小企業で約23%(年800万円超部分)です。所得が500〜700万円を超えると法人化のメリットが出始めます(出典 国税庁 No.5759 法人税の税率)。

弁護士法人化の判断は、所得水準だけでなく、事務所運営の継続性・複数拠点展開・人材採用などの観点から検討します。法人化前に税理士に相談することで、消費税の課税事業者判定や役員報酬の設定など、最適なタイミングを見極められます。

弁護士の経費として認められやすいもの

弁護士業務に関連する支出は、業務遂行上必要な経費として計上できます。

  • 事務所家賃・共益費(自宅兼事務所の場合は按分)
  • 判例集・法律書籍・専門雑誌の購読料
  • 所属弁護士会への会費・登録料
  • 弁護士保険・賠償責任保険料
  • 裁判所への交通費・出張費
  • 事件処理に必要な調査費用
  • 通信費(電話・インターネット・郵送料)
  • 事務員の給与・社会保険料
  • 会計ソフト・案件管理システムの利用料
  • 名刺・封筒・印鑑などの事務用品

弁護士会費は全額経費として認められる

所属弁護士会の会費・特別会費・日本弁護士連合会の会費は、業務遂行上必要な支出として全額経費計上が可能です。年間で数十万円かかるため、忘れずに計上することが重要です。

業務上の機密保持と税理士の守秘義務

弁護士業務は依頼者の秘密保持義務が厳格に課されているため、税理士に経理を依頼する際も依頼者情報の取扱いに注意が必要です。税理士法第38条で税理士にも守秘義務が課されているため、適切な情報管理体制が整っている事務所を選ぶことが重要です(出典 e-Gov 税理士法)。

弁護士・士業事務所に強い税理士5社

士業事務所の税務に対応している税理士事務所を5社紹介します。各事務所の料金や特徴を比較して、自分の事業規模や業務内容に合った事務所を選んでください。

税理士法人小川堀田会計事務所

参照元 https://bengoshi-tax.com/

  • 弁護士の確定申告に特化したサイトを運営
  • クラウド会計(freee・MFクラウド)導入支援
  • 千代田区神田で士業集積エリアに立地

税理士法人小川堀田会計事務所は、弁護士の確定申告に特化したポータルサイト「弁護士の確定申告.com」を運営している会計事務所です。源泉徴収税の取扱い、預り金の処理、案件ごとの売上計上など、弁護士業務特有の会計処理に精通しています。

クラウド会計ソフトの導入支援にも力を入れており、freeeやマネーフォワードクラウドと連携した業務効率化を提案してくれます。(クラウド会計を使うと、弁護士本人の入力負担が大幅に減ります)

住所
東京都千代田区内神田3-4-14 朝陽ビル3F
最寄駅
JR神田駅
URL
https://bengoshi-tax.com/

高橋輝雄税務会計事務所

参照元 https://teruozeimu.com/

  • 弁護士の経費計上・売上認識ポイントを公開
  • スポット税務相談16,500円(税込)
  • 月額顧問料3万円から

高橋輝雄税務会計事務所は、東京都中央区茅場町に拠点を構える税理士事務所です。サイト内で弁護士の確定申告ポイントを詳細に解説しており、着手金の取扱い・家賃按分・通信費・交際費の判定など、士業の経費計上に関する実務知識が豊富です。

個人事業税の対象である弁護士向けの税務対策やインボイス制度対応にも対応しており、業務の進行に応じた相談がしやすい体制です。

料金体系

サービス 料金
スポット税務相談 16,500円(税込)
月額顧問料 30,000円(税別)〜
社外CFOサービス 月額300,000円(税別)〜
住所
東京都中央区新川1-3-21 BIZSMART茅場町444号室
最寄駅
東京メトロ東西線・日比谷線「茅場町」駅より徒歩3分
URL
https://teruozeimu.com/

税理士法人センチュリーパートナーズ

参照元 https://www.zeitetsuzuki.jp/

  • 弁護士の確定申告サポートを明示的に提供
  • 源泉所得税・預り金の区分計上に対応
  • 恵比寿駅から徒歩圏で東京西部に強い

税理士法人センチュリーパートナーズは、東京都渋谷区恵比寿に拠点を置く税理士法人です。弁護士の確定申告に関する実務経験があり、源泉税の取扱い・預り金と売上の区分計上・予定納税(7月末・11月末)の納期管理など、弁護士業務に直結する税務対応をサポートしています。

振替納税手続きの提案や、士業同士の支払い処理に関するアドバイスなど、士業の実務に即したきめ細かいサービスが特徴です。

住所
東京都渋谷区恵比寿南2-21-2 サウスヒル301
最寄駅
JR・東京メトロ「恵比寿」駅
電話番号
03-6712-2681
URL
https://www.zeitetsuzuki.jp/

税理士法人齊藤会計事務所

参照元 https://www.saito-accounts.co.jp/

  • 料金表が明確で月額10,000円から契約可能
  • 千代田区神田で裁判所・弁護士会館に近い
  • 司法書士・社労士など士業との提携あり

税理士法人齊藤会計事務所は、千代田区神田松永町にある税理士法人です。料金表が公開されており、売上規模に応じた段階的な料金設定が特徴です。神田エリアは弁護士会館や裁判所からも近く、士業事務所が集積する地域に位置しています。

司法書士・社労士などの士業との連携体制があり、会社設立や法人化のタイミングで他士業のサポートが必要になった場合も相談しやすい環境です。

料金体系

サービス 料金
税務顧問料(月額) 10,000円〜60,000円(売上規模による)
確定申告書作成料 70,000円〜250,000円
記帳料 月6,000円〜(仕訳数による)
住所
東京都千代田区神田松永町16 内尾松永ビル
最寄駅
JR秋葉原駅・神田駅
電話番号
03-6206-8010
URL
https://www.saito-accounts.co.jp/

松下幸生税理士事務所

参照元 https://www.matsushita-tax.com/

  • 税務調査対応に強い
  • 千代田区内神田で士業集積エリアに立地
  • 初回相談無料

松下幸生税理士事務所は、千代田区内神田に拠点を構える税理士事務所です。決算・税務調査対応を強みとしており、士業事務所のように個人受任の案件が多く売上計上のタイミングが複雑な業種でも対応可能です。

税務調査時の対応サポート(税務調査トータルサポート20,000円〜・当日対応30,000円〜・後対応50,000円〜)が明示されており、調査対応コストが事前にわかる点が安心材料です。(弁護士業は預り金や個別案件が多いため、税務調査時の論点整理ができる事務所を選んでおくと心強いです)

住所
東京都千代田区内神田1-18-11 東京ロイヤルプラザ810
最寄駅
JR神田駅
電話番号
03-5577-6160
URL
https://www.matsushita-tax.com/

弁護士・士業事務所が税理士に依頼する費用相場

弁護士・士業事務所が税理士に依頼する場合の費用相場をまとめます。

依頼内容 費用目安
確定申告のみ(白色) 5〜10万円
確定申告のみ(青色) 10〜20万円
顧問契約(個人事業主) 月額1〜3万円
顧問契約(弁護士法人) 月額3〜5万円
記帳代行 月額5,000〜15,000円
税務調査対応 1日3〜5万円

弁護士法人化したり共同事務所として運営する場合は、決算申告料が別途20〜30万円程度発生します。

複数の税理士を比較したい場合は、無料の税理士紹介サービスを利用すると、士業の業務に対応できる税理士を効率的に探せます。

弁護士・士業事務所が税理士を選ぶポイント

士業の確定申告経験を確認する

弁護士業務の会計処理は、預り金・源泉徴収・案件ごとの売上計上など、特有の論点が多くあります。一般の事業者向けの税理士では対応できない場面も出てくるため、士業事務所の顧問実績がある税理士を選ぶのが基本です。

クラウド会計と案件管理システムの連携対応

弁護士業務では案件ごとに収支管理が必要で、ExcelやWordでの管理では限界があります。freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計と、案件管理システム(弁護士向けの専用ツール)を連携できる税理士を選ぶと、日々の業務が効率化されます。

守秘義務への意識が高い事務所を選ぶ

弁護士業務は依頼者情報の機密性が極めて高いため、税理士事務所のセキュリティ体制も重要です。クラウド会計のアクセス権限管理、書類の保管方法、データのやり取り手段などについて、契約前に確認しておくべきです。

レスポンスの速さを重視する

弁護士業は時期によって業務量の波が大きく、年末年始や年度末は申告準備が立て込みます。質問してから3営業日以内に返答がある事務所を基準に選ぶと、実務上のストレスが少なくなります。(顧問料が安くても返事が遅い事務所は、結果的に時間コストがかさみます)

士業事務所が顧問税理士をつけるメリット

士業事務所が顧問税理士をつけるかどうかは、業務量と所得規模によって判断が分かれます。確定申告のみのスポット契約で済むケースもありますが、長期的に見ると顧問契約のほうが効率的な場合が多いです。

毎月の試算表で経営状況を把握できる

顧問税理士をつけると、毎月の試算表(月次の損益計算書・貸借対照表)が提供されます。事務所の収支状況をリアルタイムで把握できるため、案件単価の調整や経費削減の判断材料になります。年に1回だけ申告書を作成するスポット契約では、こうした経営判断のための情報は得られません。

税制改正への対応が早い

インボイス制度・電子帳簿保存法・iDeCoの拡充など、近年の税制改正は士業事務所の経理にも影響します。顧問税理士をつけていれば、改正のたびに必要な対応を提案してもらえるため、自分で情報収集する手間が大幅に減ります。

税務調査時に立ち会ってもらえる

税務調査の対象になった場合、顧問税理士がいれば調査官との折衝・帳簿の説明・質問への対応を代行してくれます。弁護士業は預り金や個別案件の処理が複雑なため、税理士の同席なしで調査に対応するのは現実的ではありません。(実際に税務調査になってから税理士を探すと、対応してもらえないことや高額な追加費用が発生することがあります)

士業事務所の確定申告でよくある間違い

編集部が調査したところ、士業事務所の確定申告では以下のような間違いがよく見られます。事前に把握しておくことで、税務リスクを減らせます。

預り金を売上計上してしまう

裁判所への印紙代や事件処理に関する実費を依頼者から預かった際、これを売上として計上してしまうケースが多くあります。預り金は負債として計上し、実際に支払った時点で取り崩す処理が正しい方法です。誤って売上に計上すると所得が過大になり、所得税・住民税・国民健康保険料がすべて高くなります。

源泉徴収税額を所得税の前払いとして反映し忘れる

個人受任の案件で報酬から源泉徴収された税額は、確定申告で精算します。源泉徴収税額を申告書に記載し忘れると、本来戻ってくるはずの還付金が受け取れません。過去5年分までは更正の請求ができるため、申告漏れに気づいたら早めに税理士へ相談することが重要です

事業用と個人用の支出を区別していない

自宅兼事務所の家賃・水道光熱費を全額経費にしたり、私的な飲食代を交際費として計上したりすると、税務調査で否認されるリスクがあります。経費按分の根拠を明確にし、事業用と個人用を厳格に区分することが基本です。

最後に

弁護士・士業事務所の税務は、預り金の処理・源泉徴収の取扱い・共同事務所の経費按分・売上計上のタイミングなど、一般事業者にはない論点が多くあります。自力で確定申告を行うこともできますが、業務に集中するためにも、士業の実務を理解している税理士に依頼するのが現実的な選択です。

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執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。