この記事の目次
確定申告(青色申告)の費用・料金相場
確定申告を代行してもらう場合は、税理士の独占業務になるため、税理士に依頼することになりますが、顧問契約せずに確定申告を代行してもうか、顧問契約して確定申告を代行してもらうか、2つの方法があります。
基本的に年間売上1000万円を超えてくると、日々の取引件数もそれなりになり、税理士側の負担も大きくなるため、顧問契約をしないとスポットでの確定申告に対応してもらえないケースがあります。
顧問契約せずに依頼した際の確定申告の費用相場
確定申告を顧問契約せずに税理士に依頼した際の費用は「年間売上」と「記帳の有無」によって費用が変わります。「記帳」とは日々のお金の取引を勘定科目で記載するもので、これを自分で行っているか/行っていない場合は自分で行った上で依頼するか/税理士に丸投げするか、によって費用が変わります。
年間売上 | 費用相場 | |
---|---|---|
記帳を自分で行う | 記帳を依頼する | |
500万円以下 | 3万円〜7万円 | 10万円〜15万円 |
1000万円以下 | 7万円〜10万円 | 15万円〜20万円 |
3000万円以下 | 10万円〜15万円 | 20万円〜25万円 |
5000万円以下 | 15万円〜 | 25万円〜 |
5000万円以上 | 20万円~ | 30万円~ |
副業で稼いでいる方の多くは年間売上500万円以下だと思いますが、記帳を自分で行って、確定申告だけ税理士に依頼する場合は3万円~7万円が費用相場となります。記帳業務も依頼する場合は、10万円〜15万円の費用相場となります。
記帳業務を代行してもらう場合は、税理士と契約後に、領収書を丸投げし、税理士側に記帳を行ってもらう流れになります。逆言うと「確定申告の締切りが近くなったけど何にもしていない!」という方でも、領収書等をまとめて税理士に依頼すれば、確定申告を代行してくれます。(締切りがギリギリ過ぎると対応してくれない場合もありますが)
今回の確定申告では2019年度の売上を申告することになりますが、自分で記帳を行う場合は、2019年10月より消費税が10%になり、軽減税率が適用されたので色々と注意する必要があります。
年間売上が数千万円になるのであれば、個人事業主としてではなく法人化した方が、納める税金が少なくなったり、節税できる範囲が増えたりと、色々とメリットがあるので、法人化を検討した方が良いかもしれません。
顧問契約した際の確定申告の費用相場
税理士と顧問契約して確定申告を依頼した際の費用は「月の訪問回数」「年間売上」「記帳の有無」によって費用が変わります。顧問契約をすると、節税のアドバイスや経営戦略、資金調達、助成金などの相談にも乗ってくれる場合があり、費用は高くなりますが、それなりにメリットもあります。
顧問契約した場合の確定申告の費用相場は顧問料の4ヶ月分程度となります。
年間売上 | 顧問料/訪問頻度別 (月額) |
記帳代行 (月額) |
確定申告 (年額) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
年12回 | 年4回 | 年2回 | 年1回 | |||
1000万円以下 | 2万円 | 1.5万円 | 1.2万円 | 1万円 | +0.5万円 | 顧問料の4ヵ月分 |
3000万円以下 | 2.5万円 | 2万円 | 1.7万円 | 1.5万円 | +0.7万円 | 顧問料の4ヵ月分 |
5000万円以下 | 3万円 | 2.5万円 | 2.2万円 | 2万円 | +0.9万円 | 顧問料の4ヵ月分 |
7000万円以下 | 3.5万円 | 3万円 | 2.7万円 | 2.5万円 | +1万円 | 顧問料の4ヵ月分 |
1億円以下 | 4万円 | 3.5万円 | 3.2万円 | 3万円 | +1.2万円 | 顧問料の4ヵ月分 |
1億円以上 | 要相談 |
確定申告の費用の計算方法
確定申告の代行は税理士の独占業務なので、税理士に依頼することになりますが、誰がどのくらい時間がかかるのか、によって大きく費用が変わります。
税理士の独占業務といっても、確定申告書の作成・税務署への申告代行が税理士の独占業務となるため、確定申告書の作成にあたって、領収書の整理・仕訳を行ったり、会計データへの入力を行ったり、依頼者へヒアリング・連絡する業務を、税理士資格を持っていない事務員が対応する場合があります。
確定申告が格安で依頼できるような、税理士への費用が極端に安い事務所は、大抵そういった形で人件費を削減し、依頼者側の負担を削減しています。
逆に税理士自身が依頼者とのやり取り、領収書の仕訳等を行う場合、無資格の担当者に対応させている事務所に比べて、費用が高くなりがちですが、節税の提案をしてくれたり、申告書類のミスが少なくなったりと、いくつかメリットが存在します。ただ実際聞いた話によると、ほとんどの税理士事務所が、誰でもできる仕事は事務員に依頼している、という現状があるようです。
確定申告と青色申告の違い
そもそも確定申告とは、1年間を通しての納付すべき所得税額を算出し、国に税金を納める/または払い過ぎた税金を還元してもらうことです。
個人の方が何らかの収益を得た場合は、国に税金を納めるため、ほとんどのケースで確定申告をする必要があり、その際の申告の方法として「青色申告」と「白色申告」の2つあります。
詳しくは「青色申告と白色申告の違い」で解説しておりますが、白色申告は「記帳をしなくてよい」という最大のメリットが、平成26年1月より帳簿が義務化となったため、昨今「白色申告」で確定申告をする人はかなり少ない状態です。
基本的に「青色申告」の方がメリットが大きく「白色申告」とそこまで手間が変わらないので、確定申告をする=青色申告で確定申告をする、と覚えておいて良いでしょう。
確定申告が必要な人とは
国に税金を納める義務が発生し、確定申告が必要になる人は主に下記の3パターンです。
- 給与収入が1か所で、副業の所得が20万円を超える人
- 給与収入だけで2,000万円を超えている人
- 給与について源泉徴収されないことになっている人
給与収入が1か所で、副業の所得が20万円を超える人
ほとんどの人はここに該当すると思いますが、会社員や主婦のパートなどの方がメインの給与所得とは別に、株・FX、ブログ収入、不動産所得、フリマ収入など副業で収入を得て、年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
年間20万円以下であれば確定申告が必要ありませんが、住民税の申告は必要です。確定申告を行う場合は住民税の申告を行う必要はありません。
年間20万円とはあくまで売上から経費を引いた利益となります。確定申告をするのが面倒という人は、経費をたくさん使って20万円以下に収める、という方法があります。
給与収入だけで2,000万円を超えている人
給与所得者は会社側が年末調整を行ってくれるので確定申告の必要はありませんが1年間で2,000万円を超える場合は、年末調整は行われませんので、確定申告をする必要があります。
給与について源泉徴収されないことになっている人
源泉徴収されていない場合は、年末調整されないので、自分で確定申告をする必要があります。日雇いバイトなどで報酬が手渡しの場合は所得税が引かれない(=源泉徴収されない)場合が多いので注意が必要です。
確定申告の期限は2020年3月16日まで
令和になってから最初の確定申告の期間は2020年2月17日~3月16日です。基本的に3月15日までが期限ですが、2020年3月15日は日曜日のため、3月16日の月曜日までが期限となります。
税理士に確定申告を依頼する場合は、2020年12月~2月中旬までに依頼することをお勧めします。確定申告期間中は税理士側が多忙になるため、対応してもらえない場合があったり、通常より報酬が高くなったりする場合があります。
また2020年3月になってから依頼する場合、期限が非常に短くなるため、対応してもらえない場合が多々ありますので、注意が必要です。
確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット
確定申告は自分でもすることができますが、税理士に依頼する場合のメリットとデメリットをまとめました。
確定申告を税理士に依頼するメリット
丸投げして確定申告に対応できる
日々の取引を会計データに入力していなくても、領収書を丸投げして記帳をしてもらい、確定申告の代行をしてもらうことができるので、全く手間がかかりません。
自分で行う場合は会計ソフトを購入、またはクラウド会計ソフトを利用し、領収書を仕訳して記入していき、最終的に確定申告の用紙にまとめていく、という流れになり、そこそこの手間がかかります。
年間通して500万円以下の収入であれば、記帳含めて安い税理士事務所なら10万円程度で対応してくれますので、面倒な手間を10万円で丸投げできます。
経費対象が増える場合がある
自分で確定申告を行う場合は、何が経費で何が経費でないか判断する必要があります。特に家事按分と呼ばれる、家賃や光熱費、インターネット代など、生活上で使う割合とビジネスで使う割合を計算して、経費分を算出する方法は、知識がないと難しいでしょう。
確定申告前でも、例えば住居用の家を仕事用に1/3使っていたのであれば「12ヶ月分の家賃 × 1/3」の額を一気に経費計上することができ、結果的に納める税金が少なくなります。
申告書のミスがなくなる
自分で確定申告を行う場合、勘定科目を間違えていたり、経費計上できないものを経費にしていたり、外注時に源泉徴収をしていなかったりと、ミスが発生している場合があります。
またミスはすぐにわかればいいのですが、税務調査が入ってから初めて指摘される場合があるため、過去のミスが数年後に判明し、追徴課税等の罰金が発生する可能性があります。
税理士に依頼すれば、こういったミスがなくなるので、安心してビジネスを行うことができます。
顧問契約する場合は様々なアドバイスが貰える
顧問契約して確定申告を代行してもらう場合、確定申告の期限がギリギリなら難しいですが、来年の確定申告まで節税のアドバイスや、資金調達の方法、経営戦略、社労士と提携している税理士事務所なら助成金や補助金の相談にも対応してもらうことができます。
副業で年間500万以下の収入で、今後増やしていきたいと考えていない場合は、顧問契約の必要性はないかもしれませんが、ある程度の売上規模になってきたり、よりビジネスとして成長させたい場合は顧問契約した方が良いと言えるでしょう。
確定申告を税理士に依頼するデメリット
税理士への報酬がかかる
最初にまとめたように、確定申告を税理士に依頼するとある程度の費用がかかります。自分で勉強して確定申告を行うのであれば、一切費用はかかりません。
最近ではクラウド会計ソフトの登場により、確定申告もかなり楽になってきました。私自身、freeeを利用しており、個人事業主の頃は自分で確定申告をし、法人化してからは税理士に依頼していますが、自分で記帳をしているのであれば、税理士に依頼しなくとも、簡単に確定申告ができます。
逆に記帳ができていない場合、クラウド会計ソフトに自動仕訳機能があるものの、正直そこまで使い勝手は良くない印象だったので、ある程度自分で勉強して記帳をする必要があると思います。(取引件数が少ないのであれば楽ですが、多いとそれぞれどんな勘定科目になるのか調べる必要があるので)
経理知識が身につかない
記帳含めて税理士に丸投げする場合、何が経費になるか/ならないか等のノウハウが身につきづらい側面があります。本格的にビジネスをやりたい場合、ある程度会計周りの知識もあった方が、適切な経営を行うことができます。
まとめ
確定申告の費用が何によって変動するか、どういう仕組みで算出されるか等を紹介しました。
当社では年に一回しかない確定申告は税理士に依頼することをお勧めしています。自分でやるメリットがあるものの、時間が取られて本業に集中できない、後々ミスが発覚し余分に税金を納める必要があるかもしれない、といったデメリットがあるためです。
格安で確定申告をしてくれる事務所がたくさんありますので、まずはそういったところに相談してみても良いでしょう。