作成日:2020.05.29  /  最終更新日:2020.05.25

決算申告の流れとポイントを紹介

会社を経営しているのであれば、決算申告は必ず行わなければなりません。決算報告を行わないと「無申告加算税」が課税されてしまったり、新規の融資を受けることもできなくなったりするからです。このように、決算申告は行わないと自社に損害を与えることもありますが、逆にきちんとした申告をすることで自社にとってメリットになることもあります。どのようなメリットがあるのでしょうか。

決算申告はなぜ必要?

決算申告はなぜ必要なのでしょうか。もちろん、一部の非課税団体を除いては株式会社や有限会社といった会社の形態に関わらず、法人である以上、法人税や事業税などを納めなければなりません。このような納税する金額を適正に把握するためにも決算申告は必要になりますが、会社の経営者という観点から考えると決算報告書を作成することはこれ以上に大きな意味を持つことがあります。

それは「ある事業年度において得た会社の損益を適正に把握することができる」ということです。決算申告をする際には、会社の資産を表す「貸借対照表」、その年の純利益を計算するための「損益計算書」など様々な書類が必要となります。このような書類を作成することで、現在会社にどの程度の資産が残っているか、決算を行った年度は黒字であったのか、赤字になってしまっていたのかを知ることが可能です。

会社の経営者である以上、企業の体力がどの程度残っているかを把握しておくことは、設備投資など企業価値を高めるための投資を行うかどうかを判断するための材料になります。このような情報を知らずに経営を行ってしまうと、順調だと思っていた経営が「実は火の車だった」なんてことになりかねません。会社の現在位置を正確に知るためにも、決算申告は重要だといえるのです。

決算申告に必要な書類とは

決算申告には様々な書類が必要です。代表的なものとしては「総勘定元帳」や「決算報告書」といった自社の営業状況を記載しておくものから、「法人税申告書」や「消費税申告書」など納税に必要なものもあります。また、これらの書類の裏付けとなる領収書も当然必要です。

総勘定元帳とは、会計年度に行われた取引や経理処理をすべて記録してある帳簿のことです。他の帳簿の元となるべき帳簿ですので、取引が頻繁にある企業だとかなりのページ数になることがあります。決算報告書とは、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などからなる報告書で、その企業の1年間の収益や預貯金や土地などの資産や負債がどの程度残っているかを報告書類です。

総勘定元帳や決算報告書が会社の経営状態を表し、どの程度の納税額が適正かを図るためのものであるのに対して、法人税申告書や消費税申告書といった書類は単に税務署への申告をする際に用いる書類です。単に申告するだけとはいっても、取引の多い企業であればかなりのページ数になりますので、全く知識もない素人が作成することは難しいでしょう。

決算申告の流れ5つのステップ

決算申告は5つのステップから成り立ちます。まずは申告書を作成するための準備として決算整理を行います。決算整理とは、それまでに行われてきた経理の確認が主で、残高試算表の作成や日々の取引状況の整理です。

この決算整理は軽視されがちですが非常に重要で、ここの数字が間違っていると、後からどこが間違っているか探すのに苦労します。

決算整理が終了したら、次に青色申告書の作成業務を行います。青色申告書はその年度の利益から損金を引いた金額を算出することで、納税額の元となる利益額を算出します。

そして、青色申告書を作成することによって算出された当年度の利益金額を元に、各種の控除額や前年度以前の欠損金などを加味して納税額を計算するものが、確定申告書です。その確定申告書を税務署に提出し、審査をクリアすれば後日税金を納付するという流れになっています。

士業に相談するという選択肢

決算申告を行うためには多くの手続きや書類の作成をする必要があります。また、それぞれの手続きや書類の作成は専門的なものが多く、特になれないうちは多くの時間がかかってしまうことがあるのです。このような負担を軽減するためには、専門的に行っている士業を活用することが有効といえます。

実際に依頼するためには、もちろん費用がかかりますが、決算申告などのような複雑な手続きを行うことの人件費を考えるとかえって安く済むこともあります。さらに、このような事柄を専門的に扱っている人たちの元には様々な情報が集まっていることが多く、節税対策や他の経営者の話など、自社で決算申告を行っているのでは聞けないようなアドバイスを受けることが可能です。

「士業に相談してみたいけど、どこに相談したらいいかわからない」という人は、インターネット上で自分に合った士業を簡単に検索することもできますので、とりあえず相談してみてはいかがでしょうか。

執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。