確定申告を初めて行う方にとって、何から手をつければいいのかわからないのは当然です。結論として、確定申告は「書類を集める→金額を計算する→申告書を作成して提出する」の3ステップで完結します。この記事では、初めての確定申告で迷わないよう、全体の流れ・必要書類・提出方法を一通り解説します。(実際にやってみると、最初の書類集めが一番面倒です)
この記事の目次
- 1 確定申告は「所得がある人が税額を自分で計算して申告する手続き」
- 2 申告期間は翌年2月16日から3月15日まで
- 3 確定申告の全体の流れは5つのステップで進む
- 4 必要書類は「本人確認」「収入関連」「控除関連」の3種類に分かれる
- 5 白色申告と青色申告の違いは「控除額」と「帳簿の手間」
- 6 申告書の作成は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が最も手軽
- 7 提出方法はe-Tax・郵送・窓口の3つ
- 8 納税方法は6つの選択肢がある
- 9 初めての確定申告でよくある失敗は「控除の適用漏れ」と「期限切れ」
- 10 確定申告の作業を効率化するコツは「日々の記帳」と「クラウド会計」
- 11 税理士に依頼すべきかの判断基準は「事業規模」と「時間」
- 12 最後に
確定申告は「所得がある人が税額を自分で計算して申告する手続き」
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得の金額と、それに対する所得税の額を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。会社員の場合は年末調整で完結するケースが大半ですが、フリーランスや個人事業主は自分で申告する必要があります。
国税庁によると、所得金額の合計額が所得控除の合計額を超え、その超える額に対する税額が配当控除額等を上回る場合に確定申告が必要です(出典 国税庁 No.2020 確定申告)。
確定申告が必要になる代表的なケース
- フリーランス・個人事業主として事業所得がある
- 不動産所得がある(家賃収入など)
- 給与収入が2,000万円を超えている
- 給与所得者で副業の所得が20万円を超えている
- 株式や不動産を売却して譲渡所得がある
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
確定申告をすれば税金が戻ってくるケースもある
確定申告は「税金を払うための手続き」と思われがちですが、払いすぎた税金を取り戻すための「還付申告」もあります。医療費が年間10万円を超えた場合、住宅ローン控除を初めて受ける場合、ふるさと納税でワンストップ特例を使わなかった場合などが該当します。
還付申告は通常の確定申告期間を待たずに、翌年1月1日から5年間提出が可能です。初めての方で「払いすぎた税金を取り戻したい」だけであれば、2月16日を待つ必要はありません。
申告期間は翌年2月16日から3月15日まで
所得税の確定申告期間は、原則として所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日までです。令和7年分(2025年分)の確定申告であれば、令和8年(2026年)2月16日から3月16日(月曜日)が期限となります(出典 国税庁 令和7年分確定申告特集)。
3月15日(または振替休日)を1日でも過ぎると「期限後申告」となり、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。初めての確定申告は想定以上に時間がかかるため、2月上旬までに書類の準備を終わらせておくのが安全です。(直前に慌てて書類を探す方が毎年続出します)
個人事業者の消費税は3月31日が期限
インボイス登録をしている方や、課税売上高が1,000万円を超えている個人事業者は、消費税の申告も必要です。消費税の確定申告期限は3月31日で、所得税とは期限が異なります。初めての確定申告で消費税も対象になる場合は、期限を混同しないよう注意してください。
確定申告の全体の流れは5つのステップで進む
初めての確定申告は複雑に感じますが、実際にやることは大きく5つに分かれます。全体像を把握してから取りかかると、迷わず進められます。
| ステップ | やること | 目安の時期 |
|---|---|---|
| 必要書類の収集 | 源泉徴収票・経費の領収書・控除証明書を集める | 1月中 |
| 帳簿の整理・集計 | 収入と経費を集計し、所得金額を算出する | 1月〜2月上旬 |
| 申告書の作成 | 確定申告書に金額を記入する | 2月上旬〜中旬 |
| 申告書の提出 | 税務署に提出する(e-Tax・郵送・窓口) | 2月16日〜3月15日 |
| 税金の納付または還付 | 納税する、または還付金を受け取る | 3月15日まで(納付) |
この5つを順番にこなしていけば、初めてでも確定申告は完了します。最も手間がかかるのは最初の「書類の収集」と「帳簿の整理」で、ここさえ終われば申告書の作成自体は国税庁の作成コーナーに沿って入力するだけです。
必要書類は「本人確認」「収入関連」「控除関連」の3種類に分かれる
確定申告に必要な書類は大きく3種類です。漏れがあると申告のやり直しや控除の適用漏れにつながるため、事前にチェックリストを作って確認してください。
本人確認書類はマイナンバーカードが基本
確定申告書を提出する際には、マイナンバー(個人番号)の確認と本人確認が必要です(出典 国税庁 申告書に添付・提示する書類)。
- マイナンバーカードがある場合 → マイナンバーカード1枚でOK
- マイナンバーカードがない場合 → 通知カード(番号確認)+ 運転免許証等(身元確認)の2点が必要
e-Taxで申告する場合は、マイナンバーカードをスマートフォンやICカードリーダーで読み取る形になるため、マイナンバーカードの取得を済ませておくとスムーズです。
収入関連の書類は働き方によって異なる
| 働き方・収入の種類 | 必要な書類 |
|---|---|
| 会社員・パート | 給与所得の源泉徴収票 |
| フリーランス・個人事業主 | 売上台帳・請求書控え・支払調書 |
| 年金受給者 | 公的年金等の源泉徴収票 |
| 不動産収入がある方 | 賃貸契約書・家賃の入金記録 |
| 株式・投資信託の売却益がある方 | 特定口座年間取引報告書 |
フリーランスの場合、取引先から届く支払調書は法律上必ず届くものではありません。届かない場合は、自分の請求書や通帳の入金記録から収入を集計する必要があります。
控除関連の書類は適用する控除ごとに準備する
| 控除の種類 | 必要な書類 |
|---|---|
| 医療費控除 | 医療費の明細書(領収書は5年間保管) |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険料・国民年金の控除証明書 |
| 生命保険料控除 | 保険会社からの控除証明書 |
| 地震保険料控除 | 保険会社からの控除証明書 |
| 住宅ローン控除(初年度) | 借入金の年末残高等証明書・登記事項証明書・売買契約書等 |
| ふるさと納税(寄附金控除) | 寄附金受領証明書 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 掛金払込証明書(iDeCoなど) |
控除証明書は10月〜翌年1月にかけて届くものが多いです。届いたらすぐにまとめて保管しておくと、申告時に探す手間が省けます。(紛失した場合は再発行に2〜3週間かかることもあるため、早めの確認が重要です)
白色申告と青色申告の違いは「控除額」と「帳簿の手間」
個人事業主が確定申告をする場合、白色申告と青色申告の2種類があります。初めての確定申告で「どちらを選ぶべきか」と迷う方は多いですが、結論としては、事業を継続する予定があるなら青色申告を選ぶべきです。
| 項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 事前届出 | 不要 | 「青色申告承認申請書」の提出が必要 |
| 帳簿の方式 | 簡易簿記 | 複式簿記(65万円控除の場合) |
| 特別控除額 | なし | 最大65万円 |
| 赤字の繰越 | 不可 | 3年間繰越可能 |
| 家族への給与 | 事業専従者控除(上限86万円) | 青色事業専従者給与(全額経費算入可) |
65万円の青色申告特別控除を受けるにはe-Taxまたは電子帳簿保存が必要
青色申告特別控除は、10万円・55万円・65万円の3段階があります。最大の65万円控除を受けるには、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付した上で、e-Taxで電子申告するか、電子帳簿保存を行う必要があります(出典 国税庁 No.2072 青色申告特別控除)。
e-Taxで申告せず紙で提出した場合は、控除額が55万円に下がります。差額の10万円は、所得税率20%の方であれば約2万円の税額差になるため、e-Taxでの申告を強く推奨します。
青色申告承認申請書は開業後2か月以内に提出する
青色申告を行うには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は原則として青色申告をしようとする年の3月15日まで、新規開業の場合は開業日から2か月以内です。
この申請書を出し忘れると、その年は白色申告しかできません。初めての確定申告で「青色にしたかったのに間に合わなかった」という方は少なくありません。開業届と一緒に提出するのがベストです。
申告書の作成は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が最も手軽
申告書の作成方法はいくつかありますが、初めての方には国税庁の「確定申告書等作成コーナー」をおすすめします。画面の案内に沿って金額を入力していくだけで、申告書が自動で作成されます。
申告書の作成方法は3つある
| 作成方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 確定申告書等作成コーナー(国税庁サイト) | 無料。画面の指示に沿って入力するだけ。e-Tax送信も可能 | 初めての方・費用を抑えたい方 |
| 会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生など) | 日々の記帳から申告書作成まで一貫して管理できる | 個人事業主・フリーランス |
| 税理士に依頼 | 書類を渡すだけで申告が完了。節税対策のアドバイスも受けられる | 時間がない方・ミスが不安な方 |
会社員の還付申告であれば、確定申告書等作成コーナーで十分対応できます。一方、個人事業主で日常的に帳簿をつける必要がある場合は、会計ソフトを導入して日々の記帳から申告書作成まで連動させた方が効率的です。
初めてで不安なら税理士への依頼も選択肢になる
「初めてだから自分でやってみよう」という姿勢は悪くありませんが、事業所得がある方の青色申告は、正直なところ初年度はかなりの時間と労力がかかります。確定申告を税理士に依頼する費用は、白色申告で5〜10万円、青色申告で10〜20万円が目安です。
自分で申告した結果、控除の適用漏れや経費の計上ミスがあれば、税理士報酬以上の損失が出ることもあります。特に事業規模が大きい方は、税理士の無料紹介サービスで費用感を確認した上で判断するのが合理的です。
提出方法はe-Tax・郵送・窓口の3つ
確定申告書の提出方法は3つあります。現在は約4人に3人がe-Taxで申告しており、自宅から完結するe-Taxが主流になっています。
e-Tax(電子申告)は24時間提出可能で最も便利
e-Taxは国税庁が運営する電子申告システムです。マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)があれば、自宅から24時間いつでも申告書を提出できます。
- 税務署に行く必要がない
- 添付書類の提出を省略できる(原本は手元で5年間保管)
- 65万円の青色申告特別控除が適用される
- 還付金の処理が早い(e-Taxの方が通常より1〜2週間早い)
- マイナポータル連携で各種控除証明書のデータが自動入力される
令和6年分の確定申告では、自宅からe-Taxを利用した方が824万人に達し、前年から134万人増加しています(出典 国税庁 確定申告特集)。初めての方でも、スマートフォンとマイナンバーカードがあれば利用可能です。
郵送は期限日の消印が有効
申告書を紙で作成し、所轄の税務署に郵送する方法です。郵送の場合、3月15日(期限日)の消印が押されていれば期限内の提出として扱われます。ただし、宅配便やゆうパックなど「信書」に該当しない方法で送った場合は、税務署に届いた日が提出日になるため注意してください。
税務署の窓口は混雑を覚悟する必要がある
税務署の窓口に直接持参して提出する方法もあります。ただし、確定申告期間中の税務署は非常に混雑しており、2〜3時間待ちになることも珍しくありません。特に3月に入ると待ち時間はさらに長くなります。
窓口で相談しながら作成したい場合は、確定申告会場が開設される2月16日以降に訪問することになりますが、可能であればe-Taxか郵送での提出をおすすめします。
納税方法は6つの選択肢がある
確定申告で納める税金がある場合、納付期限は申告期限と同じ3月15日です。納付方法は複数用意されており、自分に合ったものを選べます。
| 納付方法 | 特徴 |
|---|---|
| 振替納税 | 口座から自動引き落とし。引き落とし日は4月中旬〜下旬になるため、資金繰りに余裕ができる |
| ダイレクト納付(e-Tax) | e-Taxから即時または指定日に口座引き落とし |
| クレジットカード | 国税クレジットカードお支払いサイトから手続き。手数料が発生する |
| スマホアプリ納付 | PayPayやd払いなどのスマホアプリで納付。30万円以下が対象 |
| コンビニ納付 | QRコードを作成してコンビニで納付。30万円以下が対象 |
| 金融機関・税務署窓口 | 納付書を持参して窓口で納付 |
初めての方には振替納税がおすすめです。一度手続きすれば翌年以降も自動で引き落とされるため、納付忘れの心配がなくなります。引き落とし日が4月中旬になるため、3月15日時点で資金が足りない場合でも対応できます。
初めての確定申告でよくある失敗は「控除の適用漏れ」と「期限切れ」
初めて確定申告をする方が陥りやすい失敗パターンは、ある程度決まっています。事前に知っておくだけで防げるものばかりです。
控除証明書を捨ててしまい控除が受けられない
生命保険料控除証明書や国民年金の控除証明書は、10月〜1月にかけて届きます。これらを「DMだと思って捨ててしまった」という方は毎年一定数います。再発行は可能ですが、申請から届くまでに2〜3週間かかるため、確定申告期限ギリギリだと間に合わない場合があります。届いた書類は「確定申告用」のファイルにまとめて保管しておくのが鉄則です。
経費にできるものを計上し忘れる
個人事業主の場合、事業に関連する支出は経費として計上できますが、初めての方は「何が経費になるのかわからない」ために計上漏れが発生しがちです。通信費・交通費・書籍代・事務用品費など、事業に関連する支出は幅広く経費にできます。
ただし、経費にできるかどうかの判断は個々の状況によって異なります。判断に迷う場合は税理士に相談するのが確実です。
期限を過ぎてしまいペナルティが発生する
確定申告の期限を過ぎた場合、以下のペナルティが発生する可能性があります。
- 無申告加算税 → 本来の税額に対して15〜20%が加算される
- 延滞税 → 納付期限の翌日から納付日までの日数に応じて発生
- 青色申告の取り消し → 2年連続で期限後申告をすると青色申告の承認が取り消される可能性がある
期限後申告でも、税務署から指摘を受ける前に自主的に申告すれば、無申告加算税が5%に軽減される場合があります。万が一間に合わなかった場合でも、できるだけ早く申告してください。
確定申告の作業を効率化するコツは「日々の記帳」と「クラウド会計」
初めての確定申告で最も苦労するのは、1年分の収入と経費をまとめて集計する作業です。これを楽にするコツは、日々の取引をこまめに記帳しておくことに尽きます。
クラウド会計ソフトを使えば記帳から申告書作成まで一気通貫で完了する
freee、マネーフォワードクラウド、弥生会計オンラインなどのクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して取引データを自動で取り込めます。仕訳の自動提案機能もあるため、簿記の知識がなくても記帳が可能です。
年間の利用料は1万〜2.5万円程度で、確定申告書の作成機能も付いています。日々の記帳から申告書の作成、e-Taxでの提出まで一気通貫で完了するため、初めて青色申告をする方には特におすすめです。
事業用の銀行口座とクレジットカードは分けておく
個人事業主がやっておくべき最も基本的な準備は、事業用の銀行口座とクレジットカードをプライベート用と分けることです。これだけで記帳の手間が大幅に減ります。事業用口座の入出金 = 事業の取引になるため、1年分の取引をまとめて仕訳する苦労がなくなります。
(初年度にこれをやっていなかったために、通帳を1件ずつ確認して事業分とプライベート分を仕分ける作業に丸一日かかったという話はよくあります)
税理士に依頼すべきかの判断基準は「事業規模」と「時間」
初めての確定申告を自分でやるか、税理士に依頼するかの判断は、事業規模と自分の時間の価値で決めるのが合理的です。
| 状況 | おすすめの方法 |
|---|---|
| 会社員の還付申告(医療費控除・住宅ローン控除など) | 自分でやる(確定申告書等作成コーナーで十分対応可能) |
| 副業所得が20万円〜100万円程度 | 自分でやる(会計ソフトを使えば対応可能) |
| 個人事業主で年商500万円以下 | 自分でやるか、確定申告のみ税理士に依頼 |
| 個人事業主で年商500万円超 | 税理士への依頼を推奨 |
| 消費税の申告が必要な方 | 税理士への依頼を強く推奨 |
年商が500万円を超えてくると、経費の種類や金額も増え、自分で処理するには相当の時間がかかります。確定申告に丸2〜3日費やすのであれば、その時間を本業に充てた方が結果的に得になるケースが多いです。
最後に
初めての確定申告は不安が大きいものですが、全体の流れを把握し、必要書類を早めに揃えておけば、想像ほど難しいものではありません。まずは自分が確定申告の対象かどうかを確認し、白色申告か青色申告かを選んだ上で、書類の収集から始めてください。
ポイントをまとめると、申告期間は翌年2月16日から3月15日まで、必要書類は「本人確認」「収入関連」「控除関連」の3種類、提出方法はe-Taxが最も便利です。初めてで不安な方は、確定申告書等作成コーナーを使えば画面の指示通りに進められます。
自分で申告するか税理士に頼むか迷っている方は、税理士ドットコムの無料紹介サービスを活用してみてください。希望条件に合った税理士を無料で紹介してもらえます。










