作成日:2026.04.25  /  最終更新日:2026.03.19

ふるさと納税の確定申告のやり方とワンストップ特例が使えないケース

ふるさと納税をしたものの、確定申告のやり方がわからず放置している方は少なくありません。結論として、ふるさと納税の確定申告は「寄附金受領証明書を用意して、確定申告書に寄附先と金額を記入するだけ」です。ワンストップ特例制度を使えば確定申告自体が不要になりますが、利用できないケースもあります。この記事では、ふるさと納税の確定申告の具体的な手順と、ワンストップ特例が使えない場合の対処法を解説します。

この記事の目次

ふるさと納税で確定申告が必要になるのは「ワンストップ特例を使わない人」

ふるさと納税をした全員が確定申告をしなければならないわけではありません。ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告なしで税金の控除を受けられます。ただし、この制度には利用条件があり、条件を満たさない場合は確定申告が必須です。

確定申告が必要な人と不要な人の違い

区分 確定申告 条件
ワンストップ特例を利用 不要 寄附先が5自治体以内かつ確定申告の必要がない給与所得者等
ワンストップ特例を利用しない・利用できない 必要 寄附先が6自治体以上、個人事業主、医療費控除を受ける場合など

会社員であっても、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)のために確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請をしていても無効になります。確定申告を行う場合は、ふるさと納税分も含めてすべての寄附金を申告書に記載しなければなりません。(この点を知らずに控除を受けそびれる方が毎年います)

ふるさと納税の控除額は「寄附金額 − 2,000円」が基本

ふるさと納税の寄附金控除は、所得税と住民税の両方から控除される仕組みです。自己負担額2,000円を除いた全額が控除対象となります(出典 国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除))。

控除は所得税と住民税の3段階で計算される

控除の種類 計算方法 上限
所得税からの控除 (ふるさと納税額 − 2,000円)× 所得税率(0〜45%) 総所得金額等の40%
住民税からの控除(基本分) (ふるさと納税額 − 2,000円)× 10% 総所得金額等の30%
住民税からの控除(特例分) (ふるさと納税額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税率) 住民税所得割額の20%

この3つの控除を合計すると、自己負担2,000円を除いた全額が戻ってくる計算です。ただし、上限額を超えて寄附した場合は自己負担額が増えます。(出典 総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について

控除上限額は年収と家族構成で変わる

ふるさと納税で自己負担2,000円に収めるための上限額は、年収や家族構成によって異なります。目安として、以下の金額を参考にしてください。

給与年収 独身または共働き 夫婦(配偶者控除あり)
300万円 約28,000円 約19,000円
400万円 約42,000円 約33,000円
500万円 約61,000円 約49,000円
600万円 約77,000円 約69,000円
700万円 約108,000円 約86,000円

上記はあくまで目安です。住宅ローン控除や医療費控除を受けている場合は上限額が下がります。正確な上限額を知りたい場合は、総務省のふるさと納税ポータルサイトにあるシミュレーションツールで計算できます。

ふるさと納税の確定申告に必要な書類は3つ

ふるさと納税の確定申告に必要な書類はシンプルです。事前に以下の3点を準備しておけば、スムーズに申告できます。

  • 寄附金受領証明書(各自治体から届く書類、または特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」)
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • マイナンバーカードまたはマイナンバー確認書類

寄附金受領証明書は「まとめ証明書」でも対応できる

寄附金受領証明書は、寄附をした各自治体から届きます。複数の自治体に寄附した場合でも、ふるさと納税サイト(ふるなび、さとふるなど)が発行する「寄附金控除に関する証明書」1枚で代替できます。これは令和3年分の確定申告から利用可能になった仕組みです(出典 国税庁 ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について)。

寄附先が多い場合は、自治体ごとの証明書を一枚ずつ管理するより、まとめ証明書を利用した方が手間が省けます。(正直、10自治体以上に寄附して個別管理するのは現実的ではありません)

ふるさと納税の確定申告は5つの手順で完了する

ふるさと納税の確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えばオンラインで完結します。税務署に行く必要はありません。

e-Taxを使ったオンライン申告の流れ

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
  2. 収入・所得の情報を入力する(給与所得者は源泉徴収票の内容を入力)
  3. 「寄附金控除」の項目で、寄附先の自治体名と寄附金額を入力する
  4. その他の控除がある場合は合わせて入力する
  5. 申告書を送信する(e-Tax)、または印刷して郵送する

マイナポータル連携を利用すれば、ふるさと納税の寄附情報が自動で取り込まれるため、手入力の手間を大幅に減らせます。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、スマホだけで申告を完了できます。

確定申告書への記入箇所は2か所

確定申告書にふるさと納税の情報を記入する箇所は、大きく2つです。

  • 確定申告書第一表の「寄附金控除」欄に控除額を記入
  • 確定申告書第二表の「寄附金控除に関する事項」欄に寄附先の名称と金額を記入

確定申告書等作成コーナーを使う場合は、画面の案内に従って寄附先と金額を入力すれば自動計算されるため、計算式を覚える必要はありません。

ワンストップ特例制度を使えば確定申告は不要になる

ワンストップ特例制度は、確定申告をせずにふるさと納税の控除を受けられる仕組みです。寄附をするたびに各自治体に申請書を提出するだけで手続きが完了します(出典 総務省 ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の流れ)。

ワンストップ特例の利用条件は2つ

  • 確定申告をする必要のない給与所得者等であること
  • ふるさと納税先の自治体数が1年間で5自治体以内であること

この2つの条件を両方満たしている場合に限り、ワンストップ特例制度を利用できます。なお、同じ自治体に複数回寄附した場合は「1自治体」としてカウントされます。

申請書の提出期限は翌年1月10日

ワンストップ特例の申請書は、寄附をした翌年の1月10日必着で、寄附先の自治体に届いている必要があります。年末ギリギリに寄附をした場合は、申請書の提出が間に合わないことがあるため注意が必要です。

また、申請後に住所変更があった場合は、同じく翌年1月10日までに「申請事項変更届出書」を提出しなければなりません。届出を忘れると特例が適用されない可能性があります。

ワンストップ特例が使えない5つのケース

ワンストップ特例制度は便利ですが、以下のケースに該当する場合は利用できません。確定申告が必要になるため、事前に確認しておきましょう。

寄附先が6自治体以上の場合

1年間に6つ以上の自治体に寄附した場合、ワンストップ特例は利用できません。すべての寄附について確定申告で寄附金控除を申請する必要があります。(同じ自治体への複数回の寄附は1自治体としてカウントされるので、寄附回数ではなく自治体数で判断してください)

もともと確定申告が必要な人の場合

以下に該当する方は、ワンストップ特例制度を利用できません。

  • 個人事業主・フリーランス
  • 年収2,000万円を超える給与所得者
  • 2か所以上から給与を受けている人
  • 医療費控除を受ける人
  • 住宅ローン控除を初めて受ける人(初年度のみ)
  • 給与以外の所得(副業、不動産など)が20万円を超える人

特に注意が必要なのが「医療費控除との併用」です。医療費控除は年末調整では処理できず、必ず確定申告が必要です。確定申告を行うとワンストップ特例の申請は自動的に無効になるため、ふるさと納税分も確定申告書に含めなければなりません。

申請書の提出期限(翌年1月10日)を過ぎた場合

ワンストップ特例の申請書が期限に間に合わなかった場合も、特例は適用されません。この場合は確定申告で寄附金控除を申請することになります。年末に駆け込みで寄附をした場合は、申請書の到着が間に合わないリスクがあるため、オンライン申請に対応している自治体を選ぶのが無難です。

ワンストップ特例と確定申告で控除のされ方が異なる

ワンストップ特例制度と確定申告では、控除される税金の種類が異なります。最終的な控除額は同じですが、控除のタイミングと対象が変わります。

項目 確定申告 ワンストップ特例
所得税からの控除 あり(還付) なし
住民税からの控除 あり(翌年度減額) あり(全額が翌年度の住民税から減額)
控除の合計額 寄附金額 − 2,000円 寄附金額 − 2,000円
手続き 確定申告書の提出 各自治体への申請書提出

確定申告の場合は所得税の還付(申告後1〜2か月)と住民税の減額(翌年6月〜)の2段階で控除されます。ワンストップ特例の場合は住民税の減額のみで完結するため、所得税の還付はありません。ただし、その分が住民税から追加で控除されるため、トータルの控除額はどちらの方法でも同じです。

ふるさと納税の確定申告でよくある失敗3つ

ふるさと納税の確定申告では、以下のような失敗が毎年発生しています。事前に知っておけば防げるものばかりです。

ワンストップ特例を申請したのに確定申告もしてしまう

医療費控除などのために確定申告をする場合、ワンストップ特例の申請は無効になります。確定申告書にふるさと納税の寄附金を記載し忘れると、控除が一切受けられません。確定申告をする年は、ふるさと納税分も必ず申告書に含めてください。

寄附金受領証明書を紛失する

寄附金受領証明書は、寄附後しばらくしてから届くため、届いた時点で保管場所を決めておかないと紛失しがちです。紛失した場合は寄附先の自治体に再発行を依頼できますが、時間がかかります。ふるさと納税サイトが発行する「まとめ証明書」を利用すれば、個別の証明書を管理する手間が省けます。

控除上限額を超えて寄附してしまう

控除上限額を超えた分は、純粋な「寄附」扱いとなり、税金の控除対象になりません。返礼品の価値を差し引いても損をする可能性があります。上限額は年収や家族構成で変わるため、ふるさと納税をする前にシミュレーションで確認しておくことが重要です。

個人事業主・フリーランスは確定申告でふるさと納税を申告する

個人事業主やフリーランスはワンストップ特例制度を利用できないため、毎年の確定申告でふるさと納税の寄附金控除を申請します。もともと確定申告をしている方にとっては、寄附金控除の項目を追加するだけなので、それほど手間は増えません。

事業所得がある場合の控除上限額は変動しやすい

給与所得者と異なり、個人事業主の所得は年によって変動します。そのため、ふるさと納税の控除上限額も毎年変わります。前年の所得をベースにシミュレーションしても、当年の所得が大きく異なれば上限額が変わるため注意が必要です。

所得の見通しが立ちにくい場合は、控除上限額の7〜8割程度に抑えて寄附するのが安全です。年末に所得が確定してから残りの枠を使い切る方法もあります。

ふるさと納税の控除額や申告方法に不安がある場合は、税理士に相談するのが確実です。特に事業所得がある方は、ふるさと納税に限らず確定申告全体の最適化を税理士と一緒に進めた方が効率的です。

確定申告の期限は毎年3月15日まで

ふるさと納税の寄附金控除を受けるための確定申告は、寄附をした翌年の2月16日から3月15日までに行います。この期間内に確定申告書を提出しなければ、寄附金控除の適用が遅れる場合があります。

還付申告なら1月1日から提出できる

給与所得者がふるさと納税の還付だけを目的に確定申告をする場合は「還付申告」に該当し、翌年の1月1日から5年間提出できます。2月16日を待つ必要はなく、早めに申告すればその分早く還付金を受け取れます。

e-Taxで申告した場合、所得税の還付は通常2〜3週間程度で口座に振り込まれます。書面で提出した場合は1か月〜1か月半程度かかります。

最後に

ふるさと納税の確定申告は、寄附金受領証明書を用意して申告書に記入するだけのシンプルな手続きです。ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告自体が不要ですが、6自治体以上への寄附や医療費控除との併用など、特例が使えないケースもあるため、自分がどちらに該当するかは事前に確認しておきましょう。

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執筆者
松下早紀
松下 早紀

税理士事務所・法律事務所で長年勤務した経験を生かし、税理士の選び方や税理士報酬の仕組みなどを解説しています。税理士は一度契約すると、なかなか変更しづらいものの、探す手段も限られています。後悔しない税理士探しをするために税理士ドットコムで最適な税理士選びをオススメします。