創業融資は、事業計画書の完成度と面談での受け答えで結果が決まります。自力で申請して不採択になると、同じ金融機関への再挑戦は半年以上先になるのが一般的です。この記事では、創業融資の支援を専門的に扱う税理士事務所5社の報酬体系と実績を比較し、依頼する場合の費用感と進め方を整理します。
この記事の目次
創業融資の支援を税理士に頼むと通過率が上がる理由
創業融資の審査では、まだ実績のない事業の将来性を書面で示す必要があります。ここが自力申請でつまずきやすい部分です。
事業計画書の数字に根拠があるかが審査の分かれ目
創業融資の審査で見られるのは、自己資金の額、経験・経歴、そして事業計画の実現性です。売上予測に根拠がなく、希望的な数字を並べただけの計画書は評価されません。同業種での経験年数や、取引先の見込み、原価率の設定まで含めて整合性が取れているかが問われます。
税理士に依頼する実務上のメリットは、金融機関が納得する数字の組み立てを知っている点にあります。数字の作り方そのものより、どの数字にどんな根拠資料を添えるかを知っているかどうかで結果が変わります。(同じ事業内容でも、計画書の書き方だけで結論が変わることは実際にあります)
認定経営革新等支援機関の税理士なら制度面の後押しがある
国が認定した「認定経営革新等支援機関」の税理士事務所は、中小企業支援の実績を国から認められた機関です。認定支援機関を通した申請では、金融機関側の心証面でプラスに働くほか、一部の制度で優遇が受けられる場合があります。
日本政策金融公庫の調査によると、開業費用は平均975万円、開業時の資金調達額に占める自己資金の割合は平均22.9%(平均279万円)となっています(出典 日本政策金融公庫 新規開業に関する調査)。自己資金だけで開業資金をまかなえるケースは少数派で、多くの創業者が借入を組み合わせています。
創業融資に強い税理士5選
創業融資の支援実績と報酬体系を公開している税理士事務所を5社紹介します。着手金の有無、成功報酬の率、対応エリアを比較してください。
税理士法人YFPクレア

参照元 https://www.yfpcrea.com/215/hoshu
- 着手金0円、成功報酬は融資額の1%
- 年間30件以上の創業融資サポート実績
- 融資後の返済フォローまで担当者が継続対応
税理士法人YFPクレアは、東京・新宿四谷、埼玉・浦和、長野・松本に拠点を持つ税理士法人です。創業融資のサポートは着手金0円、成功報酬は融資額の1%と、支援サービスの中では低い水準の料金設定です。
年間30件以上の創業融資支援実績があり、融資の申請支援だけでなく、実行後の返済計画の相談や金融機関との関係構築まで継続してフォローする体制をとっています。ただし、この報酬体系は税務顧問サービスの契約が前提となっています。(融資だけを単発で頼みたい場合は条件を確認してください)
料金体系
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 着手金 | 0円 |
| 成功報酬 | 融資額の1% |
| 前提条件 | 税務顧問サービスの契約 |
1,000万円の融資が実行された場合の成功報酬は10万円という計算になります。
SMC税理士法人

参照元 https://www.smc-g.co.jp/service/kaisya-setsuritsu/sougyouyuushi/
- 審査通過率90%以上と公表
- 完全成功報酬型で、融資実行まで費用が発生しない
- 税務契約なしでも依頼可能(調達額の3%)
SMC税理士法人は、東京・名古屋・多治見・中津川に拠点を持つ税理士法人です。創業融資の審査通過率90%以上を公表しており、ヒアリング診断から融資プランニング、事業計画書の作成、金融機関への事前相談、面談サポートまでを一貫して支援します。
日本政策金融公庫だけでなく民間金融機関への対応も行っています。税務顧問契約がない場合でも依頼できる点が特徴で、融資実行までは費用が発生しない完全成功報酬型です。
料金体系
| 契約形態 | 成功報酬 |
|---|---|
| 税務契約あり | 調達額の1%(最低5万円) |
| 税務契約なし | 調達額の3%(最低10万円) |
| 融資実行前 | 費用の発生なし |
顧問契約の有無で成功報酬が3倍変わる設定です。開業後の税務も依頼する前提なら、顧問契約とセットにしたほうが総額を抑えやすくなります。
- 拠点
- 東京オフィス(八丁堀駅徒歩3分)・名古屋オフィス・多治見オフィス・中津川オフィス
- 対応金融機関
- 日本政策金融公庫、民間金融機関
匠税理士事務所

参照元 https://www.takumi-tax.jp/services/kojin-keiei-youyaku.html
- 資金調達コンサルティングは5万円から
- 金融機関との面談リハーサルを実施
- 日本政策金融公庫への推薦状を作成
匠税理士事務所は、東京都目黒区自由が丘に拠点を置く税理士事務所です。事業計画書の作成支援、金融機関との面談対策とリハーサル、日本政策金融公庫への推薦状の作成まで対応しています。
面談の練習まで行う点が特徴で、初めて金融機関の担当者と話す創業者でも準備をした状態で本番に臨めます。日本政策金融公庫のほか、三井住友銀行やみずほ銀行など複数の金融機関と提携しており、公庫以外の選択肢も含めて相談できます。(顧問契約者は面談当日の立ち会いにも対応しています)
料金体系
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 資金調達コンサルティング | 50,000円〜 |
| 見積もり | 案件の難易度により個別対応 |
成功報酬型ではなく、コンサルティング料として設定されています。融資額が大きい案件では、成功報酬型より総額を抑えられる可能性があります。
- 所在地
- 東京都目黒区自由が丘1-4-10 quaranta1966 404
- 最寄駅
- 自由が丘駅 徒歩2分
永安栄棟 公認会計士・税理士事務所

参照元 https://osakacpa.com/sogyoyushi-zeirishi/
- 着手金無料の完全成功報酬型、融資成功率95%超
- 質問に答えるだけで事業計画書を代理作成
- 面談練習・立ち会いから融資後のフォローまで対応
永安栄棟 公認会計士・税理士事務所は、兵庫県神戸市に拠点を置く事務所です。着手金は無料で、融資が実行された場合のみ成功報酬が発生する完全成功報酬型を採用しています。融資成功率95%超と公表しています。
メールでの質問に答えるだけで事業計画書を代理作成する方式をとっており、書類作成の手間を抑えたい創業者に向いています。面談の練習や立ち会いに加え、融資実行後の口座開設や税務申告のアフターフォローにも対応しています。
料金体系
| 借入額 | 顧問契約あり | 顧問契約なし |
|---|---|---|
| 500万円まで | 4% | 5% |
| 1,000万円まで | 3% | 5% |
| 1,000万円超 | 2% | 3% |
借入額が大きくなるほど料率が下がる設定です。着手金は無料のため、不採択の場合の費用負担はありません。
名古屋創業融資支援オフィス@本山(佐治税理士事務所)

参照元 https://yushi.stfconsul.com/
- 日本政策金融公庫の融資に特化
- 元金融機関出身の専門家が対応
- 土日祝の相談にも対応
名古屋創業融資支援オフィス@本山は、佐治税理士事務所が運営する創業融資支援の専門窓口です。日本政策金融公庫の融資に特化し、名古屋を中心に愛知県全域に対応しています。
元金融機関出身の専門家が対応する点が特徴で、審査する側の視点を踏まえた計画書の作り方や面談対策を受けられます。補助金・助成金のサポートも着手金無料・完全成功報酬で行っており、創業期の資金調達を融資と補助金の両面から相談できます。地下鉄本山駅から徒歩1分と通いやすい立地です。
料金体系
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金・助成金サポート | 着手金無料・完全成功報酬 |
| 創業融資サポート | 公式サイトの料金ページで確認 |
| 相談 | 無料相談あり、土日祝対応可 |
創業融資の具体的な報酬は公式サイトの料金ページで案内されています。相談時に確認してください。
創業融資支援の成功報酬は融資額の2〜5%が相場
創業融資の支援報酬は、成功報酬型が主流です。相場は融資額の2〜5%で、1,000万円の融資なら20万〜50万円が目安になります。
着手金型と完全成功報酬型で総額が変わる
| 報酬タイプ | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 完全成功報酬型 | 融資が実行されなければ費用は0円 | 料率がやや高めに設定されることがある |
| 着手金+成功報酬型 | 成功報酬の料率が低めになる傾向 | 不採択でも着手金は戻らない |
| コンサル料型 | 融資額に関係なく定額 | 高額融資では割安になりやすい |
どのタイプが得かは、希望する融資額によって変わります。500万円程度の融資であれば完全成功報酬型でも負担は小さく、3,000万円規模を狙うなら定額のコンサル料型のほうが総額を抑えられる場合があります。
顧問契約とセットにすると成功報酬が下がる事務所が多い
多くの事務所が、税務顧問契約を結ぶ場合の成功報酬を低く設定しています。開業後は記帳と決算が必要になるため、どのみち税理士に依頼するつもりなら、融資と顧問をまとめたほうが総額では有利です。
顧問料の相場や依頼範囲は法人設立時に税理士へ支払う費用の相場と依頼するメリットで解説しています。融資に強い税理士の探し方に迷う場合は、税理士紹介サービスで創業融資の実績がある事務所を無料で紹介してもらえます。
自己資金は開業費用の2〜3割を用意しておく
創業融資の審査で最初に見られるのが自己資金です。
自己資金ゼロでの申請は通りにくい
日本政策金融公庫の調査では、開業時の資金調達額に占める自己資金の割合は平均22.9%です。実務上も、開業費用の2〜3割程度の自己資金があると審査で説明しやすくなります。
重要なのは金額だけでなく、その資金をどう貯めたかです。毎月コツコツ貯めた通帳の履歴は計画性の証明になりますが、申請直前に第三者から振り込まれた資金は「見せ金」と判断され、評価されません。(通帳は過去半年から1年分を遡って確認されます)
創業計画書の準備には1〜2か月かかる
創業融資の申請から審査完了までは2〜4週間、契約・振込まで含めると1〜2か月が目安です。これに事業計画書の作成期間が加わるため、開業予定日から逆算して3か月前には動き出しておくのが安全です。
税理士を活用した融資の進め方は創業融資の成功率を上げるために税理士を活用する方法にまとめています。
創業融資を税理士に依頼するときの注意点
「必ず通る」と断言する業者には注意する
融資の可否を決めるのは金融機関であり、税理士が結果を保証することはできません。通過率の実績を公表している事務所は参考になりますが、確実性を約束する説明があった場合は慎重に判断すべきです。
創業融資でよくある失敗を避ける
実務で不採択につながりやすいのは、次のようなケースです。
- 自己資金の大半を申請直前に親族から借りて用意している
- クレジットカードや携帯料金の支払いに延滞履歴がある
- 税金や社会保険料の未納がある
- すでに他社で借入があり、返済が滞っている
- 売上予測の根拠が示せず、希望額だけが先行している
信用情報の延滞履歴は、本人が忘れていても記録に残ります。心当たりがある場合は、申請前に税理士へ伝えておいたほうが対策を立てられます。(隠したまま進めて審査で発覚するのが最も不利な展開です)
報酬の総額と支払時期を契約前に確認する
成功報酬の料率だけでなく、着手金の有無、事業計画書の作成が別料金かどうか、面談立ち会いが含まれるかを確認してください。融資実行後すぐに支払いが発生するため、調達した資金からいくら手元に残るかを計算しておく必要があります。
日本政策金融公庫の創業融資は限度額7,200万円
創業時に最もよく使われるのが、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。
開業後おおむね7年以内なら対象になる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間(設備資金) | 20年以内(うち据置期間5年以内) |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 担保・保証人 | 希望を聞いたうえで相談 |
限度額は7,200万円ですが、実績のない創業時にこの金額が出ることはまずありません(出典 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金)。実際の融資額は自己資金と事業計画の内容で決まります。
据置期間を使えば当初の返済負担を抑えられる
据置期間とは、元金の返済を待ってもらい利息のみを支払う期間です。売上が立つまでに時間がかかる事業では、この期間の設定が資金繰りを左右します。設備資金なら最長5年の据置が制度上は可能ですが、実際に何か月認められるかは審査次第です。
創業時は「借りられる最大額」を狙うより、返済できる金額から逆算するのが安全です。(開業後1年目は想定どおりに売上が立たないことのほうが多く、返済が重いと資金繰りが先に行き詰まります)
面談で聞かれるのは経験・自己資金・売上根拠・返済原資
創業融資では、申請書類を提出した後に金融機関の担当者との面談があります。ここで確認される内容はほぼ決まっています。
同業種での経験年数は最も重視される
飲食店を開くなら飲食業での勤務経験、美容室なら美容師としての経験というように、これから始める事業と同じ業種での経験があるかが問われます。未経験の分野で開業する場合は、その不利をどう補うかを説明できなければなりません。
自己資金の出どころを説明できるようにしておく
通帳を見せて「どうやって貯めたか」を説明する場面があります。給与から毎月積み立てた履歴が残っていれば、計画性の証明として評価されます。逆に、直前に大きな入金がある場合は、その資金の性質を必ず聞かれます。
売上予測の根拠を数字で示す
「席数×回転数×客単価×営業日数」のように、売上予測を分解して説明できる状態にしておく必要があります。近隣の競合状況や、すでに取引の見込みがある先の有無も説明材料になります。
返済できる根拠を示す
金融機関が最終的に見ているのは、貸したお金が返ってくるかどうかです。毎月の返済額に対して、利益とどれだけ余裕があるかを示す必要があります。生活費をいくら見込んでいるかまで含めて、現実的な数字を並べられるかが判断されます。
税理士に依頼すると、この面談を想定した練習まで対応してくれる事務所があります。書類の作成だけでなく、面談対策が含まれるかは事前に確認しておくべきです。
本記事に掲載した各事務所の料金・実績は、2026年8月時点で各社の公式サイトに掲載されている情報にもとづいています。条件は変更される場合があるため、依頼前に各事務所へ直接ご確認ください。
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最後に
創業融資の支援報酬は融資額の2〜5%が相場で、着手金型・完全成功報酬型・定額のコンサル料型に分かれます。希望する融資額と、開業後に顧問契約を結ぶ予定があるかどうかで、有利な選び方は変わります。
創業融資は一度不採択になると再申請までの期間が空いてしまうため、最初の申請で通すことが重要です。事業計画の作り込みには時間がかかるので、開業予定日の3か月前には相談を始めてください。依頼先を探す際は、税理士ドットコムの無料紹介サービスを使えば、創業融資の実績がある税理士を条件に合わせて紹介してもらえます。











