補助金は申請すれば必ず受け取れるものではなく、採択率が3〜4割にとどまる制度も珍しくありません。事業計画の作り込みが結果を左右するため、支援実績のある専門家に依頼するケースが増えています。この記事では、補助金申請の支援を扱う税理士事務所5社の採択実績と報酬体系を比較し、依頼するかどうかの判断基準を整理します。
この記事の目次
補助金は申請すれば通るものではない
補助金と助成金は似た言葉ですが、性質が異なります。助成金は要件を満たせば原則受給できるのに対し、補助金は審査があり、予算の範囲内で採択される事業が決まります。
採択率は公募回ごとに変動する
ものづくり補助金のように人気の高い制度では、採択率が3〜4割程度になる回もあります。申請したうちの半数以上が不採択になる制度で、事業計画の完成度がそのまま結果に響きます。
ものづくり補助金は中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施し、全国中小企業団体中央会が事務局として運用しています。申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要で、直近では22次締切が令和8年1月30日、23次締切が令和8年5月8日に設定されています(出典 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公式ホームページ)。
準備期間は最低でも1〜2か月かかる
GビズIDプライムアカウントの発行には数日から2週間程度かかります。そのうえで事業計画書、決算書、見積書などの書類を揃える必要があり、締切の直前に動き出しても間に合いません。
公募開始を知ってから準備を始めると、書類集めだけで締切を迎えます。(設備投資の見積書を業者に依頼する時間まで含めると、逆算して2か月前から動く必要があります)
補助金・助成金に強い税理士5選
補助金申請の支援実績と報酬体系を公開している税理士事務所を5社紹介します。採択実績、料金、対応している補助金の種類を比較してください。
増田考邦税理士事務所

参照元 https://masu-tax.jp/monodukuri-hojyokin/
- ものづくり補助金の採択率85.7%(2020〜2023年度)
- 補助金全般で年間50件以上の採択実績
- 着手金0円の完全成功報酬型
増田考邦税理士事務所は、東京都新宿区西新宿に拠点を置く税理士事務所です。ものづくり補助金を主軸に、2020年から2023年度の採択率85.7%、補助金全般で年間50件以上の採択実績を公表しています。
東京都内の認定支援機関(税理士)で支援実績No.1を掲げており、着手金0円の完全成功報酬型で依頼できます。初回相談は60分無料、オンライン相談にも対応しています。ただし、補助対象経費1,000万円以上が依頼の条件となっているため、小規模な申請には向きません。
料金体系
| プラン | 着手金 | 成功報酬 |
|---|---|---|
| シンプルプラン | 0円 | 受給額の10%(最低75万円) |
| フルサポートプラン | 0円 | 受給額の15%(最低100万円) |
不採択の場合は費用が発生しない一方、最低報酬額が設定されているため、受給額が小さいと実質的な負担率は高くなります。
きだかおり税理士事務所

- 事業再構築補助金は6件すべて一発採択で採択率100%
- 小規模事業者持続化補助金・名古屋市創業補助金も採択率100%
- ZOOM対応で全国から依頼可能
きだかおり税理士事務所は、名古屋市中村区に拠点を置く税理士事務所です。事業再構築補助金は6件すべてが一発採択で採択率100%、小規模事業者持続化補助金と名古屋市創業補助金も採択率100%と公表しています。ものづくり補助金では愛知県の税理士部門4位の実績があります。
3,000万円超の事業再構築補助金や1,000万円のものづくり補助金など、規模の大きい案件の実績もあります。経営革新等支援機関推進協議会の「TOP100 2024」を3年連続で受賞しており、ZOOM対応で北は山形県から南は長崎県まで全国の案件を扱っています。
料金体系
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報酬 | 公式サイトに記載なし(個別見積もり) |
| 対応補助金 | 事業再構築、ものづくり、小規模事業者持続化、IT導入、名古屋市創業補助金など |
| 対応エリア | 全国(ZOOM対応) |
税理士法人ReaLight

参照元 https://www.minnano-tax.com/jigyou-saikouchiku/
- 税理士・公認会計士・中小企業診断士のチームで支援
- 交付申請・実績報告まで一貫対応
- 採択コミット型と伴走型から選べる
税理士法人ReaLightは、大阪市北区梅田に拠点を置く税理士法人です。認定経営革新等支援機関として、税理士・公認会計士・中小企業診断士がチームで補助金申請を支援します。
事業計画の策定段階から関わり、採択後の交付申請や実績報告まで対応する点が特徴です。補助金は採択されてからの手続きが煩雑で、実績報告でつまずくと入金が遅れるため、後工程まで見てもらえるのは実務上の利点になります。オンライン対応で東京や遠方からの依頼も受け付けています。
料金体系
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 着手金 | 10万円(税別) |
| 成功報酬(採択コミット型) | 補助金額の6〜8%(下限60〜80万円) |
| 成功報酬(伴走型) | 補助金額の8〜12%(下限80〜120万円) |
| 不採択の場合 | 着手金のみ |
申請額1,000万円から相談可能です。着手金は必要ですが、成功報酬の料率は完全成功報酬型より低めに設定されています。
- 所在地
- 大阪府大阪市北区梅田2-5-8 千代田ビル西別館4階F号室
- 対応エリア
- 関西中心、オンラインで全国対応
西田恭隆公認会計士・中小企業診断士・税理士事務所

参照元 https://www.nishidaystk.com/category/2052791.html
- 小規模事業者持続化補助金は着手金・成功報酬ともに0円
- 公認会計士・中小企業診断士・税理士の3資格を保有
- 都内4拠点と横浜で相談可能
西田恭隆公認会計士・中小企業診断士・税理士事務所は、東京都内の銀座・新宿・渋谷・池袋と横浜に拠点を持つ事務所です。公認会計士、中小企業診断士、税理士の3資格を保有しており、財務面と事業計画の両面から支援できる体制です。
特徴的なのは小規模事業者持続化補助金の料金で、着手金・成功報酬ともに0円としています。補助金額が50万〜200万円程度と小さい制度は、支援報酬を払うと手元に残る額が減るため敬遠されがちですが、この事務所では顧問契約などの入り口として無料対応しています。(少額の補助金から相談したい小規模事業者には現実的な選択肢です)
料金体系
| 補助金 | 着手金 | 成功報酬 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 0円 | 0円 |
| ものづくり補助金 | 10万円 | 補助金額×10%または50万円の高い方 |
| 採択後の事務手続 | 報告1回5万円、実績報告10万円 | |
- 拠点
- 東京都中央区(銀座)・新宿区・渋谷区・豊島区(池袋)・神奈川県横浜市
- 保有資格
- 公認会計士・中小企業診断士・税理士
みどり合同税理士法人グループ

参照元 https://www.mgrp.jp/service4/
- 2024年度のIT導入補助金は採択率100%(15件)
- IT導入支援事業者として認定
- 要件確認から申請書類作成、実績報告まで一貫サポート
みどり合同税理士法人グループは、香川県高松市に本社を置き、東京・有楽町にも拠点を持つ税理士法人グループです。2024年度のIT導入補助金では採択率100%(15件)と公表しています。
IT導入支援事業者としての認定を受けており、補助金の申請支援と導入するITツールの両面から相談できます。補助金だけでなく、雇用調整助成金などの助成金、小規模企業共済や倒産防止共済といった制度の活用まで含めて提案する体制です。
料金体系
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報酬 | 公式サイトに記載なし(個別見積もり) |
| 対応制度 | IT導入補助金、雇用調整助成金、各都道府県・市町村の補助金など |
| サポート範囲 | 要件確認・申請書類作成・実績報告提出まで |
支援報酬は着手金10万円+成功報酬10%前後が中心
補助金申請の支援報酬は、着手金と成功報酬の組み合わせで決まります。成功報酬は受給額の10〜15%が一般的な水準です。
完全成功報酬型は料率が高めに設定される
| 報酬タイプ | 相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 完全成功報酬型 | 受給額の10〜15% | 不採択なら費用0円だが、料率は高め |
| 着手金+成功報酬型 | 着手金10万円+6〜12% | 料率は低めだが着手金は返金されない |
| 最低報酬額の設定 | 50万〜120万円 | 受給額が小さいと負担率が跳ね上がる |
注意すべきは最低報酬額です。受給額の10%と聞くと安く感じますが、最低報酬額75万円という設定であれば、500万円の補助金でも75万円がかかります。実質15%の負担になる計算です。
補助金は後払いなので資金繰りの計画が必要
補助金は、採択されればすぐに入金されるわけではありません。採択後に交付申請を行い、設備を購入して代金を支払い、実績報告を提出してから入金されます。先に全額を自己資金または融資でまかなう必要があり、入金までは半年から1年かかることもあります。
設備投資の資金をどう手当てするかは、補助金の申請と並行して考えておく必要があります。融資と補助金を組み合わせる場合は、両方に対応できる税理士に相談したほうが話が早く進みます。税理士紹介サービスを使えば、補助金と資金調達の両方に実績がある事務所を無料で紹介してもらえます。
税理士に依頼する場合と診断士・コンサルの違い
税理士は決算書の数字と補助金後の税務まで見られる
補助金の申請では、直近の決算書をもとに事業の現状を説明します。自社の数字を把握している税理士であれば、決算書と整合性のある計画を組み立てやすくなります。
さらに、補助金は原則として課税対象の収入になるため、受給した年度の税負担が増えます。圧縮記帳などの処理を含めて、受給後の税務まで一貫して相談できる点は税理士に依頼する利点です。
中小企業診断士は事業計画の作り込みに強い
中小企業診断士は事業計画策定の専門家で、経済産業省系の補助金と相性が良いとされます。実務では、税理士と診断士がチームを組んで支援する事務所も多くあります。どちらか一方が優れているというより、体制として両方の視点が入っているかを確認すべきです。
依頼先を選ぶときの3つのチェックポイント
直近の採択実績を公募回ごとに確認する
採択率は公表している事務所とそうでない事務所があります。公表している場合も、対象期間と件数を確認してください。2件中2件採択で「採択率100%」と表示することもできるため、母数の確認は必要です。
採択後のサポート範囲を確認する
補助金は採択されてからが本番です。交付申請、実績報告、その後の事業化状況報告まで手続きが続きます。申請書の作成だけで契約が終わるのか、実績報告まで含むのか、別料金ならいくらかを事前に確認してください。
認定経営革新等支援機関かどうかを確認する
制度によっては、認定経営革新等支援機関の確認書が申請要件になっているものがあります。依頼先が認定を受けているかどうかは、中小企業庁の検索システムでも確認できます。
中小企業が使える主要な補助金は4つに整理できる
数多くの補助金がありますが、中小企業・小規模事業者が実際に検討することが多いのは次の制度です。
ものづくり補助金は設備投資が中心
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、中小企業庁と中小企業基盤整備機構が実施し、全国中小企業団体中央会が事務局を務めています。新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資が対象です(出典 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公式ホームページ)。
補助額が大きい分、事業計画の審査も厳しく、支援を依頼するケースが最も多い制度です。
デジタル化・AI導入補助金はITツールの導入が対象
従来のIT導入補助金は、2026年から「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」として実施されています。会計ソフトや受発注システムなど、事務局に登録されたITツールの導入費用が対象で、通常枠のほかインボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数者連携枠が設けられています(出典 デジタル化・AI導入補助金2026)。
この制度は、ITツールを提供する「IT導入支援事業者」と共同で申請する仕組みです。導入したいツールのベンダーが登録事業者かどうかを先に確認する必要があります。
小規模事業者持続化補助金は販路開拓向け
小規模事業者の販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する制度で、商工会議所・商工会の管轄地域ごとに事務局が分かれています(出典 小規模事業者持続化補助金(一般型))。チラシ制作、ホームページ作成、店舗改装といった比較的小規模な使い道が対象です。
補助額が小さいため支援報酬を払うと手残りが減りますが、商工会議所・商工会の窓口で無料の相談支援を受けられる点が他制度と異なります。
事業承継やM&Aに関する補助金もある
後継者への引継ぎや、M&Aによる事業の譲り受けに伴う費用を対象とする制度もあります。承継のタイミングでしか使えないため、事業承継の相談をしている税理士がいれば、あわせて確認しておくとよいでしょう。
採択されてから入金までは半年から1年かかる
補助金でつまずきやすいのは、申請よりむしろ採択後の手続きです。
採択と交付決定は別の手続き
| 段階 | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 公募・申請 | 事業計画書の作成、GビズIDでの電子申請 | 1〜2か月 |
| 審査・採択発表 | 採択事業者の公表 | 1〜3か月 |
| 交付申請・交付決定 | 経費の内訳を提出し、正式に対象経費が確定 | 1〜2か月 |
| 事業実施 | 設備の発注・導入・支払い | 数か月〜1年 |
| 実績報告・確定検査 | 証憑を揃えて報告、事務局が確認 | 1〜2か月 |
| 補助金の入金 | 確定後に精算払い | 報告から1〜2か月 |
採択されただけで発注してしまうと、交付決定前の経費として補助対象外になることがあります。発注・契約は交付決定の後に行うのが原則です。(この順序を間違えて補助金を受け取れなくなるケースは実際にあります)
実績報告の書類不備で入金が遅れる
実績報告では、見積書・発注書・納品書・請求書・振込記録といった一連の証憑を揃える必要があります。1つでも欠けると差し戻され、入金が数か月遅れます。支払いは必ず銀行振込で行い、記録を残しておくのが基本です。
受給後も事業化状況の報告が続く
制度によっては、補助事業の終了後も数年間にわたって事業化状況の報告義務があります。報告を怠ると補助金の返還を求められる場合があるため、報告までサポート範囲に含まれる事務所を選んでおくと安心です。
本記事に掲載した各事務所の実績・料金は、2026年8月時点で各社の公式サイトに掲載されている情報にもとづいています。補助金の公募要件や締切は回ごとに変わるため、最新の情報は各補助金の公式サイトでご確認ください。
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最後に
補助金の申請支援は、着手金10万円+成功報酬10%前後が相場です。最低報酬額の設定によって実質的な負担率は変わるため、受給見込額に対していくら残るかを計算してから依頼を判断すべきです。
採択率だけでなく、採択後の実績報告までサポート範囲に含まれるか、認定経営革新等支援機関かどうかも確認してください。補助金は入金までに時間がかかるため、資金繰りの相談まで含めて対応できる税理士を選ぶのが現実的です。依頼先を探す場合は、税理士ドットコムの無料紹介サービスで補助金支援の実績がある事務所を紹介してもらう方法があります。











